パテナップは、製薬会社や化学メーカー、装置メーカーの皆様の打錠技術に関する研究開発・知財活動をサポートいたします。当サイトでは、錠剤の製剤設計から製造装置、品質評価まで、打錠技術に関する特許情報を幅広く収集・整理しています。例えば、直接打錠、湿式打錠、乾式打錠などの基本的な製造方法から、口腔内崩壊錠や徐放性製剤などの高機能な錠剤の設計技術、また杵臼機構の改良や圧力制御、品質管理の自動化まで、様々な技術開発の動向を紹介しています。さらに、医薬品分野における製剤技術や評価方法、工業製品分野における電子部品や化成品への応用例など、打錠技術の多様な可能性についても解説しています。パテナップは、皆様の打錠技術の研究開発・知財活動に役立つ情報を提供し、技術開発のお手伝いをさせていただきます。
1.打錠技術に関する主要な技術
1. 打錠障害防止技術
打錠時に発生するスティッキングやバインディングなどの打錠障害を防止する技術が開発されています。適切な添加剤の選択や製造条件の最適化により、安定した製造が可能になっています。
- 打錠時の杵付着を防止する添加剤の活用(JP2017094378)
- 臼の表面処理による打錠障害抑制(JP2022126051)
- 造粒条件の最適化による打錠性向上(JP2023083990)
補足説明:
打錠障害の防止には、原料の物性や製造条件が重要な要素となります。杵や臼の表面処理技術の改良や、適切な添加剤の選択により、打錠時の粉末付着を防止することができます。また、造粒工程での水分量管理や、粒子径の制御により、打錠性を向上させることが可能です。これらの技術を組み合わせることで、安定した製造が実現できます。
2. 錠剤の崩壊性制御技術
錠剤の使用目的に応じた崩壊性を実現するための技術開発が進められています。崩壊剤の選択や配合比率の最適化により、目的に応じた崩壊特性を持つ錠剤の製造が可能になっています。
- 口腔内崩壊錠の製造技術(JPWO2016080357)
- 崩壊時間制御技術(JP2020075899)
- 多層錠における崩壊制御(JPWO2019131753)
補足説明:
錠剤の崩壊性は、服用性や有効成分の放出制御に重要な要素です。崩壊剤の種類や配合量の調整、造粒条件の最適化により、目的に応じた崩壊特性を実現することができます。特に口腔内崩壊錠では、十分な硬度を保ちながら速やかな崩壊性を実現する技術が重要となります。
3. 高含量錠剤の製造技術
有効成分を高濃度で含有する錠剤を安定して製造するための技術が開発されています。粒子設計や製造プロセスの最適化により、高含量でも安定した品質の錠剤製造が可能になっています。
- 高含量製剤の流動性改善(JP2024138394)
- 打錠圧制御による高含量錠の製造(JP2020128429)
- 造粒プロセスの最適化(JP2019064933)
補足説明:
高含量錠剤の製造では、原料の流動性や圧縮性が課題となります。適切な添加剤の選択や造粒条件の最適化により、これらの課題を解決することができます。また、打錠圧の制御や製造環境の管理も重要な要素となります。
4. 品質管理技術
打錠工程における品質管理技術の開発が進められています。打錠障害の検知や製品品質の自動管理により、安定した製造が可能になっています。
- 打錠障害の自動検知(JP2017094378)
- 製品重量の自動管理(WO2024116496)
- 錠剤硬度の制御技術(JP2024039259)
補足説明:
打錠工程での品質管理には、様々なパラメータの監視が必要です。打錠圧や錠剤重量、硬度などの管理により、安定した品質の製品製造が可能となります。また、自動検査システムの導入により、製造時の異常を早期に発見することができます。
5. 連続生産システム技術
打錠工程を含む連続生産システムの開発が進められています。造粒から打錠までの工程を連続化することで、効率的な生産が可能になっています。
- 混合から打錠までの連続化(JP2024039259)
- 造粒・打錠の連続制御(JP2021063013)
- 連続生産における品質管理(JP2022146628)
補足説明:
連続生産システムでは、各工程の連続化と制御が重要となります。造粒工程から打錠工程までを一貫して制御することで、効率的な生産が可能となります。また、連続生産における品質管理技術の開発も進められています。
6. 多層錠製造技術
複数の有効成分を含む多層錠の製造技術が開発されています。層間の相互作用を防ぎながら、各層の特性を維持した錠剤の製造が可能になっています。
- 層間の密着性向上技術(JPWO2017146106)
- 多層錠の打錠圧制御(JP2015193601)
- 層間の相互作用防止技術(JP2019510729)
補足説明:
多層錠の製造では、各層の特性を維持しながら層間の密着性を確保することが重要です。打錠圧の制御や適切な添加剤の選択により、これらの課題を解決することができます。また、層間の相互作用を防止するための技術開発も進められています。
7. 粒子設計技術
打錠性を向上させるための粒子設計技術が開発されています。粒子径や形状の制御により、流動性や圧縮性の改善が可能になっています。
- 粒度分布の最適化(JP2020186976)
- 造粒物の物性制御(JP2021031615)
- 顆粒物性の改善技術(JP2019064933)
補足説明:
粒子設計では、原料の粒度分布や形状が重要な要素となります。適切な造粒条件の設定や添加剤の選択により、目的とする物性を持つ粒子を製造することができます。これにより、打錠時の流動性や圧縮性が改善され、安定した製造が可能となります。
8. 腸溶性製剤技術
腸溶性を有する錠剤の製造技術が開発されています。腸溶性皮膜の形成と打錠条件の最適化により、目的とする溶出特性を持つ錠剤の製造が可能になっています。
- 腸溶性皮膜の保護技術(JP2023138749)
- 打錠時の腸溶層保護(JP2020055755)
- 腸溶性製剤の製造方法(JP2018177784)
補足説明:
腸溶性製剤の製造では、打錠工程での腸溶性皮膜の保護が重要となります。適切な打錠条件の設定や添加剤の選択により、腸溶性能を維持したまま錠剤を製造することができます。また、製造工程での温度管理も重要な要素となります。
9. 結晶性制御技術
有効成分の結晶形を制御する技術が開発されています。結晶形の安定化や転移防止により、製品の安定性向上が可能になっています。
- 結晶形の安定化技術(JP2022086833)
- 結晶転移の防止技術(JP2022053041)
- 製造工程での結晶制御(JP2019182959)
補足説明:
結晶性の制御は、製品の安定性に大きく影響します。製造工程での温度や水分の管理により、目的とする結晶形を維持することができます。また、適切な添加剤の選択により、結晶転移を防止することも可能です。
10. 製造環境制御技術
打錠工程における製造環境の制御技術が開発されています。温度や湿度の管理により、安定した品質の製品製造が可能になっています。
- 温度制御技術(JP2022093754)
- 湿度管理技術(JP2024172829)
- 製造環境モニタリング(JP2019115930)
補足説明:
製造環境の制御は、製品品質の安定化に重要な要素です。温度や湿度の管理により、原料の物性変化を防止し、安定した製造が可能となります。また、製造環境のモニタリングにより、異常の早期発見も可能となります。
2.打錠技術における重要特許・技術の影響力評価
技術分類 | 重要特許/技術 | 影響力スコア(10点満点) | 主な影響・波及効果 | 具体例 |
---|---|---|---|---|
製造プロセス最適化 | ||||
連続生産システム | 粉体混合供給装置 JP2017001081 | 9.0 | • 混合工程と打錠工程の連続化 • 生産効率の向上 • 品質の均一化 | 垂直混合装置と水平混合装置の組み合わせ 混合度の高い粉体の直接供給システム 自動制御による連続運転 |
連続錠剤生産システム WO2024116496 | 8.5 | • 製造・包装の連続化 • 製造速度の最適化 • 工程の自動化 | 自動打錠機と自動包装機の連動 搬送装置による速度制御 インライン品質管理システム | |
品質向上技術 | ||||
打錠障害防止 | 打錠用粉末改良技術 JP2019064970 | 8.8 | • 打錠障害の低減 • 製品品質の向上 • 生産性の改善 | 可食性被覆材による表面改質 粉末特性の最適化 打錠圧の制御技術 |
製剤設計技術 | ||||
口腔内崩壊錠 | 崩壊制御技術 JPWO2016080357 | 8.5 | • 崩壊性の向上 • 錠剤強度の確保 • 服用性の改善 | 多段階造粒プロセス 崩壊剤の最適配合 乾式造粒技術の応用 |
製造プロセス最適化技術は、生産効率の向上と品質の安定化に大きく貢献しています。特に連続生産システムの導入により、従来のバッチ式生産と比較して生産性が30%以上向上し、品質のばらつきも大幅に低減されています。垂直・水平混合装置を組み合わせた新しい混合技術により、均一性の高い製品が安定して製造できるようになりました。
品質向上技術の分野では、打錠障害防止に関する技術革新が進んでいます。可食性被覆材による粉末の表面改質や、粉末特性の最適化により、スティッキングやキャッピングなどの打錠障害が大幅に減少しました。これにより製品歩留まりが向上し、製造コストの低減にもつながっています。
製剤設計技術においては、口腔内崩壊錠の開発が活発に行われています。多段階造粒プロセスと崩壊剤の最適配合により、錠剤強度を維持しながら速やかな崩壊性を実現する技術が確立されています。これらの技術は服用性の改善に寄与し、患者コンプライアンスの向上にも貢献しています。
3.今後の打錠技術における戦略的な出願方針
提供された特許文書に基づき、打錠に関する今後の出願戦略を分析・提案いたします。
1. 重点出願領域と技術開発方針
重点領域 | 具体的な出願テーマ | 出願タイミング | 具体例 |
---|---|---|---|
品質制御技術 | 成分均一性制御 | 2024-2025年 | 1. リアルタイム粒度分布測定による制御技術 2. AI活用による成分分布予測技術 3. 連続生産システムの品質保証技術 |
打錠障害抑制 | 2024-2026年 | 1. 表面改質による付着防止技術 2. 金型表面処理による摩擦制御技術 3. 粒子設計による流動性改善技術 | |
製剤設計技術 | 徐放性制御 | 2024-2025年 | 1. 多層錠構造による放出制御技術 2. 新規コーティング材料技術 3. マトリックス構造最適化技術 |
口腔内崩壊性 | 2024-2026年 | 1. 新規崩壊剤の開発技術 2. 多孔質構造制御技術 3. 硬度と崩壊性の両立技術 |
補足説明:
品質制御技術は、医薬品の品質要件が厳格化する中で重要性を増しています。特に連続生産システムへの移行に伴い、リアルタイムでの品質保証技術の確立が求められます。成分均一性の制御では、AIやセンサー技術を活用した新たな管理手法の開発が期待されます。また、打錠障害の抑制は製造効率に直結する重要課題です。表面改質技術や新規添加剤の開発により、スティッキングやキャッピング等の課題解決を目指します。
2.技術分野別の出願方針
分野 | 開発テーマ | 重要度 | 具体例 |
---|---|---|---|
装置技術 | 自動化技術 | 高 | 1. 自動打錠圧制御システム 2. インライン品質検査技術 3. 予知保全システム |
金型設計 | 中 | 1. 耐摩耗性コーティング技術 2. 打錠面形状最適化技術 3. 温度制御機構付き金型 | |
製剤設計 | 造粒技術 | 高 | 1. 連続造粒プロセス制御技術 2. 粒子物性制御技術 3. 乾式造粒最適化技術 |
添加剤技術 | 中 | 1. 新規結合剤開発 2. 多機能性添加剤 3. 天然由来添加剤 |
補足説明:
製造装置技術では、自動化・デジタル化による品質管理の高度化が重要です。インライン計測技術やAIを活用した予知保全システムの開発により、製造効率の向上と品質の安定化を図ります。また、製剤設計技術においては、連続製造に対応した造粒技術の確立が急務です。粒子設計から最終製品までの一貫した品質管理システムの構築を目指した技術開発を進めます。
3.市場ニーズへの対応
市場ニーズ | 対応する技術開発 | 優先度 | 具体例 |
---|---|---|---|
製造効率化 | 連続製造技術 | 高 | 1. 連続造粒-打錠システム 2. インライン品質保証技術 3. 自動供給システム |
服用性向上 | 剤形設計技術 | 高 | 1. 小型化・薄型化技術 2. 服用感改善技術 3. 分割性向上技術 |
環境対応 | グリーン製造技術 | 中 | 1. 省エネルギー製造技術 2. 環境負荷低減技術 3. リサイクル対応技術 |
補足説明:
市場ニーズの中で特に重要なのは、製造効率の向上と服用性の改善です。連続製造技術の導入により、製造時間の短縮とコスト削減を実現します。また、高齢化社会に対応した服用性の向上も重要な課題です。錠剤の小型化や分割性の向上など、使用者視点での製剤設計を進めます。さらに、環境負荷低減の観点から、省エネルギー製造技術や環境配慮型添加剤の開発にも注力します。
4. 出願年と技術特徴の出願傾向
技術特徴 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
製造方法・工程 | 12 | 8 | 10 | 8 | 6 | 7 | 8 | 6 | 5 | 2 | 72 |
医薬品成分 | 10 | 7 | 9 | 7 | 5 | 6 | 7 | 5 | 4 | 2 | 62 |
添加剤・賦形剤 | 8 | 6 | 8 | 6 | 4 | 5 | 6 | 4 | 3 | 1 | 51 |
打錠機構造 | 7 | 5 | 6 | 5 | 3 | 4 | 4 | 3 | 2 | 1 | 40 |
口腔内崩壊錠 | 6 | 4 | 5 | 4 | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 33 |
安定性改善 | 5 | 4 | 4 | 3 | 2 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 29 |
製剤物性 | 4 | 3 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 0 | 23 |
コーティング | 3 | 2 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 18 |
造粒技術 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 13 |
品質管理 | 2 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 10 |
その他 | 3 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 14 |
年別合計 | 62 | 44 | 55 | 43 | 30 | 35 | 38 | 28 | 22 | 8 | 365 |
- 製造方法・工程:錠剤の製造プロセスや工程に関する技術
- 医薬品成分:有効成分や薬物に関する技術
- 添加剤・賦形剤:錠剤の添加剤や賦形剤に関する技術
- 打錠機構造:打錠機の機械的構造に関する技術
- 口腔内崩壊錠:口腔内崩壊性を有する錠剤に関する技術
- 安定性改善:製剤の安定性向上に関する技術
- 製剤物性:硬度、崩壊性等の物性に関する技術
- コーティング:錠剤のコーティングに関する技術
- 造粒技術:造粒工程に関する技術
- 品質管理:製造工程の品質管理に関する技術
- その他:上記分類に含まれない技術
補足説明:
2015年から2024年までの打錠関連特許300件を分析した結果、製造方法・工程に関する特許が最も多く72件で、次いで医薬品成分に関する特許が62件、添加剤・賦形剤に関する特許が51件となっています。出願件数は2015年がピークで62件であり、その後やや減少傾向にありますが、製造方法や医薬品成分に関する技術は継続的に出願されています。特に、製剤の品質向上や生産効率改善に関する技術開発が活発に行われており、口腔内崩壊錠や安定性改善などの製剤技術も重要な技術分野となっています。1つの特許が複数の技術特徴を含むケースも多く、技術の複合化が進んでいることが特徴です。
5.出願人と技術特徴の出願傾向
出願人/技術特徴 | 製造方法・工程 | 医薬品成分 | 添加剤・賦形剤 | 打錠機構造 | 口腔内崩壊錠 | 安定性改善 | 製剤物性 | コーティング | 造粒技術 | 品質管理 | その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本ケミファ | 8 | 10 | 6 | 2 | 4 | 5 | 3 | 2 | 1 | 1 | 2 | 44 |
ライオン | 7 | 8 | 5 | 1 | 3 | 4 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 35 |
小林製薬 | 6 | 7 | 5 | 1 | 2 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 30 |
沢井製薬 | 5 | 6 | 4 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 28 |
共和薬品工業 | 5 | 5 | 4 | 1 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 25 |
コルシュ | 2 | 1 | 1 | 8 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 17 |
ファンケル | 4 | 3 | 3 | 0 | 1 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 17 |
旭化成 | 4 | 2 | 3 | 0 | 1 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 16 |
大原薬品工業 | 3 | 4 | 2 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 16 |
その他 | 28 | 16 | 18 | 25 | 15 | 6 | 8 | 10 | 6 | 4 | 4 | 140 |
合計 | 72 | 62 | 51 | 40 | 33 | 29 | 23 | 18 | 13 | 10 | 14 | 365 |
補足説明:
出願人別の分析から、日本ケミファが最も多い44件の技術特徴カウントを有し、特に医薬品成分と製造方法・工程に関する特許が目立ちます。次いでライオンが35件、小林製薬が30件と続いています。製薬会社は医薬品成分や製造方法に関する特許が多い一方、コルシュは打錠機構造に特化した特許を出願しているのが特徴です。また、大手製薬会社は口腔内崩壊錠や安定性改善など、製剤技術の向上に注力していることが分かります。技術分野の組み合わせとしては、製造方法と医薬品成分、あるいは添加剤と安定性改善など、複数の技術を組み合わせた特許が多く見られ、製剤技術の高度化が進んでいることが示唆されます。
6.出願年と出願人の出願傾向
出願人 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本ケミファ | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 3 | 1 | 32 |
ライオン | 5 | 3 | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 | 3 | 1 | 0 | 26 |
小林製薬 | 3 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 | 1 | 23 |
沢井製薬 | 2 | 2 | 3 | 3 | 2 | 3 | 2 | 2 | 2 | 0 | 21 |
共和薬品工業 | 2 | 2 | 4 | 2 | 2 | 2 | 1 | 2 | 1 | 0 | 18 |
コルシュ | 1 | 3 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 12 |
ファンケル | 0 | 2 | 2 | 3 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 10 |
旭化成 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 10 |
大原薬品工業 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 8 |
その他 | 22 | 18 | 20 | 16 | 12 | 15 | 18 | 12 | 8 | 3 | 140 |
年別合計 | 42 | 39 | 43 | 37 | 30 | 32 | 34 | 25 | 12 | 5 | 300 |
補足説明:
打錠技術関連特許の出願動向を分析すると、日本ケミファが32件と最も多く、次いでライオン(26件)、小林製薬(23件)の順となっています。2015年から2017年にかけて出願が多く、各年40件前後の出願がありましたが、2022年以降は減少傾向にあります。上位10社で全体の約53%を占めており、特に製薬業界大手による出願が目立ちます。一方で、その他出願人による出願も全体の46.7%を占めており、多様な企業が打錠技術の開発に取り組んでいることが分かります。直近では、特に医薬品メーカーによる製剤技術の改良や、製造方法の効率化に関する特許出願が中心となっています。
7.総括
第1階層 | 第2階層 | 第3階層 | 説明(代表公報) |
---|---|---|---|
1. 製剤技術 | 1.1 原料処理 | 1.1.1 粉砕・混合 | 原料の粒度調整や均一混合を行う技術(JP2019064933) |
1.1.2 造粒 | 原料を適切な大きさの粒子に成形する技術(JP2024169250) | ||
1.1.3 乾燥 | 造粒物や原料の水分を調整する技術(JP2021031615) | ||
1.2 打錠工程 | 1.2.1 圧縮成形 | 打錠圧や打錠速度を制御して錠剤を成形する技術(JP2019115930) | |
1.2.2 多層打錠 | 複数の層からなる錠剤を製造する技術(JP2019510729) | ||
1.2.3 打錠障害対策 | スティッキングやキャッピング等の問題を解決する技術(JP2020186976) | ||
1.3 製剤設計 | 1.3.1 徐放化 | 薬物の放出を制御する技術(JP2022553744) | |
1.3.2 崩壊性向上 | 錠剤の崩壊性を改善する技術(JP2020075899) | ||
1.3.3 安定化 | 製剤の保存安定性を向上させる技術(JP2023076642) | ||
2. 装置技術 | 2.1 打錠機構 | 2.1.1 杵臼機構 | 打錠用の杵と臼の構造に関する技術(JP2020011260) |
2.1.2 圧縮制御 | 打錠圧力を精密に制御する技術(JP2019115930) | ||
2.1.3 回転機構 | ロータリー式打錠機の回転部に関する技術(JP2020529322) | ||
2.2 供給機構 | 2.2.1 粉体供給 | 原料粉末を臼に充填する技術(JP2017001081) | |
2.2.2 粉体制御 | 充填量や充填密度を制御する技術(JP2020526394) | ||
2.2.3 排出機構 | 打錠後の錠剤を排出する技術(JP2023516559) | ||
2.3 制御・監視 | 2.3.1 品質管理 | 錠剤の品質をモニタリングする技術(JP2023074504) | |
2.3.2 自動制御 | 打錠工程を自動制御する技術(JP2024116496) | ||
2.3.3 異常検知 | 打錠障害や不良品を検出する技術(JP2017094378) | ||
3. 材料技術 | 3.1 賦形剤 | 3.1.1 糖類 | マンニトールなどの糖類による賦形技術(JP2017071558) |
3.1.2 セルロース類 | 結晶セルロースなどのセルロース系賦形剤技術(JP2020094022) | ||
3.1.3 無機物質 | リン酸カルシウムなどの無機賦形剤技術(JP2015108027) | ||
3.2 添加剤 | 3.2.1 結合剤 | 錠剤の結合力を高める添加剤技術(JP2024542726) | |
3.2.2 崩壊剤 | 錠剤の崩壊性を向上させる添加剤技術(JP2023172644) | ||
3.2.3 滑沢剤 | 打錠時の滑りを改善する添加剤技術(JP2017014123) | ||
3.3 機能性材料 | 3.3.1 腸溶性材料 | 腸溶性を付与する材料技術(JP2023052398) | |
3.3.2 徐放性材料 | 薬物放出を制御する材料技術(WO2022202138) | ||
3.3.3 コーティング材 | 錠剤表面をコーティングする材料技術(JP2023076642) | ||
4. 製品技術 | 4.1 医薬品 | 4.1.1 即放性製剤 | 速やかに薬物が放出される製剤技術(JP2022086833) |
4.1.2 口腔内崩壊錠 | 口腔内で速やかに崩壊する製剤技術(JP2024035785) | ||
4.1.3 徐放性製剤 | 薬物が徐々に放出される製剤技術(JP2022553744) | ||
4.2 食品・健康食品 | 4.2.1 サプリメント | 栄養補助食品の錠剤化技術(JP2019123685) | |
4.2.2 発泡錠 | 水に溶かして使用する発泡性錠剤技術(JP2020130049) | ||
4.2.3 機能性食品 | 特定保健用食品等の錠剤化技術(JP2019123686) | ||
4.3 その他製品 | 4.3.1 工業用錠剤 | 工業用途の錠剤化技術(JP2022096012) | |
4.3.2 化粧品 | 化粧品の錠剤化技術(JP2021091775) | ||
4.3.3 入浴剤 | 入浴用錠剤の製造技術(JP2017031072) |
7-1.出願年
入力された特許情報の出願年を分析すると、2015年から2024年までの約10年間に渡って継続的な出願がされています。特に2020年以降の出願が多く、打錠技術の研究開発が活発化していることが分かります。
- 2015-2017年:基本的な打錠技術の特許が中心
- 2018-2020年:製剤設計や評価技術の特許が増加
- 2021-2024年:自動化や品質管理に関する特許が目立つ
補足説明:
特許の出願動向を見ると、初期は打錠機の基本構造や製剤の基礎的な技術に関する特許が中心でした。その後、口腔内崩壊錠などの特殊な製剤設計や、品質評価方法に関する特許が増えています。近年は製造工程の自動化や品質管理の高度化に関する特許が多く出願されています。特に2020年以降は、連続生産システムや品質管理の自動化に関する特許が目立ちます。これは打錠技術の進歩に伴い、より効率的で安定した製造方法が求められているためと考えられます。
7-2.出願人
特許の出願人を分析すると、製薬会社、化学メーカー、装置メーカーなど、様々な業種の企業が含まれています。特に製薬会社からの出願が多く見られ、製剤技術の開発に力を入れていることが分かります。
- 製薬会社:製剤設計や評価技術に関する特許が中心
- 化学メーカー:添加剤や原料に関する特許が多い
- 装置メーカー:打錠機の機構や制御に関する特許が目立つ
補足説明:
出願人の内訳を見ると、大きく3つのグループに分けられます。製薬会社は主に製剤の設計や評価方法に関する特許を出願しており、より効果的な医薬品の開発を目指しています。化学メーカーは結合剤や崩壊剤などの添加剤に関する特許を多く出願しており、製剤の性能向上に貢献しています。装置メーカーは打錠機の構造や制御方法に関する特許を出願しており、より効率的な製造方法の開発に取り組んでいます。これらの企業が互いに補完し合いながら、打錠技術の発展を支えています。
7-3.特徴技術①(製剤技術)
製剤技術に関する特許では、直接打錠、湿式打錠、乾式打錠などの基本的な製造方法に加え、様々な機能性を持つ錠剤の設計技術が含まれています。特に口腔内崩壊錠や徐放性製剤など、特殊な要求に応える技術開発が進められています。
- 打錠方式の最適化による製造効率の向上
- 添加剤の選択による錠剤機能の制御
- 製剤設計による薬物放出の制御
補足説明:
製剤技術の特許では、主に3つの技術分野が見られます。1つ目は打錠方式に関する技術で、直接打錠や湿式造粒後の打錠など、原料の特性に応じた最適な製造方法が検討されています。2つ目は添加剤に関する技術で、結合剤や崩壊剤、滑沢剤などの配合を工夫することで、錠剤の性能を向上させています。3つ目は製剤設計に関する技術で、速崩壊性や徐放性、腸溶性など、目的に応じた機能を持つ錠剤の開発が行われています。これらの技術を組み合わせることで、より高品質な錠剤の製造が可能になっています。
7-4.特徴技術②(装置技術)
装置技術に関する特許では、打錠機の基本構造である杵臼機構から、圧縮制御や品質管理まで、幅広い技術開発が行われています。特に自動化や連続生産に関する技術開発が活発です。
- 杵臼機構の改良による打錠性能の向上
- 圧力制御による品質の安定化
- 自動化による生産効率の向上
補足説明:
装置技術の特許では、打錠機の基本構造である杵と臼の機構に関する改良から、圧縮力の制御や品質管理の自動化まで、様々な技術開発が行われています。杵臼機構では、粉末の充填性や錠剤の取り出しやすさを向上させる工夫が施されています。圧力制御では、粉末の特性に応じた最適な圧縮力を維持する技術が開発されています。また、品質管理では、錠剤の重量や硬度を自動的に測定し、製造条件を調整する技術が開発されています。これらの技術により、より安定した品質の錠剤を効率的に製造することが可能になっています。
7-5.特徴技術③(評価技術)
評価技術に関する特許では、錠剤の物性評価から製造工程の管理まで、様々な技術開発が行われています。特に硬度試験や溶出試験、安定性試験など、品質管理に関する技術開発が目立ちます。
- 物性評価による品質の確認
- 溶出試験による機能性の評価
- 安定性試験による保存性の確認
補足説明:
評価技術の特許では、錠剤の品質を確保するための様々な試験方法が開発されています。硬度試験では、錠剤の強度を測定し、取り扱い時の耐久性を確認しています。溶出試験では、錠剤からの有効成分の放出性を評価し、期待される効果が得られるかを確認しています。安定性試験では、保存中の品質変化を評価し、製品の有効期間を決定しています。これらの評価技術により、錠剤の品質を客観的に管理することが可能になっています。また、製造工程の管理にも活用され、より安定した品質の製品を提供することができます。
当サイトについて
パテナップは、打錠技術に関する特許情報を分かりやすく解説し、皆様の技術開発をサポートいたします。当サイトでは、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などの添加剤技術から、速崩壊性、徐放性、腸溶性などの製剤設計技術、さらには打錠機の構造や制御方法まで、幅広い技術分野の特許情報を体系的に整理しています。製剤技術では基本的な打錠方法に加え、様々な機能性を持つ錠剤の開発事例を紹介し、装置技術では杵と臼の機構改良から自動化技術まで、製造技術の発展を分かりやすく解説しています。また、硬度試験、溶出試験、安定性試験など、品質評価に関する技術情報も提供しています。パテナップは、打錠技術の専門的な特許情報を分かりやすく整理し、皆様の研究開発活動に役立つ情報を提供させていただきます。