パテナップは、製薬会社・食品会社・素材メーカー・装置メーカーなど、ハードカプセルに関わる企業の知財活動をサポートいたします。当サイトでは、ハードカプセルの基本技術から最新の機能性付与技術まで、幅広い特許情報を提供します。セルロース系・ゼラチン系などの材料技術、腸溶性・遮光性などの機能性付与技術、浸漬成形・コーティングなどの製造技術について分かりやすく解説しています。また、医薬品・機能性食品向けの内容物技術や、品質管理・製造管理に関する技術情報も充実しています。難溶性成分の可溶化技術、生理活性物質の安定化技術、製造工程の自動化技術など、実務に直結する特許情報を体系的に整理してご提供いたします。パテナップは、ハードカプセル事業の特許・知財業務を総合的にサポートいたします。

1. ハードカプセル関連の主要技術

1.腸溶性や安定性を考慮したハードカプセルの基本構造に関する技術

ハードカプセルの製造において、カプセルシェルの材料選択や構造設計が重要な要素となっています。特に、腸溶性や保存安定性を向上させるための技術開発が進められており、基材の組み合わせや層構造の最適化が行われています。

  • セルロース誘導体を用いた腸溶性ハードカプセル(JP2020138926
  • 遮光性を持つハードカプセルシェル(WO2024063039
  • キャップとボディの分離性向上技術(JP2019182746

補足説明:
ハードカプセルの基本構造において、内容物の保護と放出制御が重要な課題となっています。腸溶性を付与するために、セルロース誘導体やポリマーを用いた皮膜形成が行われ、胃での崩壊を抑制し、腸での溶解性を高める工夫がなされています。また、光や紫外線から内容物を保護するための遮光性カプセルシェルの開発や、製造時の作業性を考慮したキャップとボディの分離性向上など、様々な技術的な改良が進められています。これらの技術により、製剤の安定性や品質の維持、製造効率の向上が図られています。

2.カプセル内容物の品質維持と安定性向上に関する技術

ハードカプセルに充填される有効成分や機能性物質の安定性を向上させるため、様々な安定化技術が開発されています。特に、水分管理や酸化防止、温度安定性の確保などが重要な技術要素となっています。

補足説明:
カプセル内容物の安定性確保は、製品の有効性維持において重要な課題です。特にビタミン類やプロバイオティクスなどの不安定な成分については、水分値の調整や特殊な安定化剤の使用により、長期保存での品質維持を実現しています。油脂成分については、酸化防止技術として水素発生粉末の添加や、適切な水分値管理が行われています。これらの技術により、製品の保存期間中の有効成分の安定性が確保され、品質の維持が可能となっています。

3.内容物の放出タイミングと速度を制御する技術

ハードカプセルからの内容物の放出を適切にコントロールするための技術開発が行われています。特に、消化管内での放出位置や速度の制御により、効果的な吸収や作用の実現を目指しています。

  • HPMCとヒドロキシプロピルセルロースによる放出制御(JP2022074974
  • 腸溶性コーティング技術(JP2019052101
  • 多層被覆による放出制御(JP2019201607

補足説明:
放出制御技術では、製剤の目的に応じて様々な方法が採用されています。ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性高分子を用いた放出制御や、腸溶性コーティングによる胃での保護と腸での放出制御、さらには多層構造による段階的な放出制御など、目的に応じた技術が開発されています。これらの技術により、内容物の効果的な送達や吸収性の向上が実現されています。

4.カプセル内容物の吸収性を高める技術

ハードカプセルに含まれる有効成分の生体内での吸収性を向上させるための技術開発が進められています。特に、難溶性成分の可溶化や吸収促進剤の活用などが重要な技術となっています。

補足説明:
生体利用性の向上は、製剤の効果を最大限に引き出すために重要な要素です。難溶性成分に対しては自己乳化性組成物の開発や、リン脂質などの吸収促進剤の活用により、消化管での吸収性を向上させています。また、粒子径の最適化により、有効成分の溶解性や吸収性を改善する技術も開発されています。これらの技術により、カプセル内容物の効率的な体内吸収が可能となっています。

5.ハードカプセルの製造品質を確保する技術

ハードカプセルの製造において、品質の均一性や安定性を確保するための技術開発が行われています。特に、製造工程の管理や検査方法の確立が重要な技術要素となっています。

補足説明:
品質管理技術では、製造工程での各種パラメータの管理が重要となります。カプセルのキャップとボディの接合部分の密封性を確保するバンディング技術や、製品の識別性を確保するための印刷品質管理、内容物の充填性を向上させるための流動性改善技術など、様々な側面での品質確保が行われています。これらの技術により、製品の均一性や安定性が確保され、高品質なハードカプセル製剤の製造が可能となっています。

6.複数の機能性成分を効果的に組み合わせる技術

ハードカプセルに複数の機能性成分を組み合わせて充填する技術が開発されています。特に、相乗効果を期待した成分の組み合わせや、各成分の安定性を考慮した配合設計が重要となっています。

  • プロアントシアニジンと使用感向上剤の配合(JPWO2023112973
  • ビフィズス菌と機能性成分の組み合わせ(JP2018199631
  • 海藻抽出物と補助成分の配合(JPWO2023112974

補足説明:
機能性成分の組み合わせでは、各成分の特性を活かしながら、目的とする効果を最大限に引き出すための技術が重要です。例えば、プロアントシアニジンと使用感向上剤の組み合わせや、ビフィズス菌と相性の良い成分の配合、海藻抽出物と効果を補助する成分の組み合わせなど、様々な工夫がなされています。これらの技術により、単一成分では得られない効果や、使用性の向上が実現されています。

7.天然由来成分の特性を活かすための技術

植物由来の成分をハードカプセルに効果的に配合するための技術開発が行われています。特に、抽出物の安定化や、有効成分の濃縮技術が重要となっています。

補足説明:
植物由来成分の活用では、天然素材の特性を維持しながら、製剤として安定な状態を実現することが重要です。ヒシ属植物の加工における有効成分の保持や、カンナビジオールの効果的な配合方法、オリーブ抽出物などの植物成分の安定化など、様々な技術的な工夫が行われています。これらの技術により、天然由来成分の効果を最大限に活かした製剤の開発が可能となっています。

8.カプセル製剤の水分含量を最適化する技術

ハードカプセルの製造や保存において、適切な水分管理を行うための技術開発が進められています。特に、内容物の安定性と製剤の物理的特性の両立が重要となっています。

補足説明:
水分管理技術は、製剤の安定性と品質維持に直接影響する重要な要素です。特にビフィズス菌などの生菌を含む製剤では、適切な水分値の維持が生存率に大きく影響します。また、カプセルシェル自体の水分含量も、製剤の物理的特性や保存安定性に関わる重要な要素となっています。これらの技術により、製剤の品質維持と安定性の確保が実現されています。

9.油性成分を効果的に配合するための技術

油性成分をハードカプセルに配合するための乳化技術の開発が行われています。特に、安定性の高い乳化系の形成と、生体内での吸収性向上が重要な技術要素となっています。

補足説明:
乳化技術では、油性成分の安定な分散状態の維持と、生体内での効率的な吸収の両立が求められます。ω-3脂肪酸などの機能性油脂の乳化や、自己乳化性を持つ製剤の開発、油脂の酸化防止など、様々な技術的なアプローチが行われています。これらの技術により、油性成分の効果的な配合と吸収性の向上が実現されています。

10.カプセル製剤の視認性と識別性を高める技術

ハードカプセルの外観的な特徴を制御し、識別性を向上させるための技術開発が進められています。特に、印刷技術や着色技術の改良が重要な要素となっています。

補足説明:
識別性向上技術では、製品の安全性と品質管理の観点から、視認性の確保と製品識別が重要となります。印刷時の転写防止技術や、食品由来の天然着色剤の活用、カプセル表面の改質による外観制御など、様々な技術的な工夫が行われています。これらの技術により、製品の識別性向上と品質管理の効率化が実現されています。

2.ハードカプセルにおける重要特許・技術の影響力評価

技術分類重要特許/技術影響力スコア(10点満点)主な影響・波及効果具体例
基本構造
皮膜組成セルロースナノファイバー皮膜
JP2024072388
9.1• フィルム成形性向上
• 製造効率化
• 品質安定化
カルボキシメチルセルロースナトリウムとの組合せ
メチルセルロースとの相互作用による強度向上
ナノファイバー分散による均一性向上
ゼラチン腸溶性皮膜
JP2017039657
8.8• 腸溶性の向上
• 溶解制御性向上
• 製造簡便化
アルカリ処理ゼラチンとカラギナンの複合化
pH依存的な溶解制御機構
イオン相互作用による不溶化制御
機能性付与
腸溶性制御HPMCアセテートサクシネート皮膜
JP2018519272
8.7• 腸溶性能向上
• 製造効率化
• 安定性向上
塩基性アミノ酸との組合せによる溶解制御
水性コーティング組成物の開発
製造工程の簡略化技術
安定性向上湿度制御カプセル
JP2018199631
8.5• 内容物安定性向上
• 保存性向上
• 品質維持
水分値3-4%への精密制御
水溶性フィルム形成ポリマーの最適化
ジェランガムによる物性制御

1. 基本構造技術

カプセル皮膜の基本構造において、セルロースナノファイバーを用いた技術が注目を集めています。この技術はフィルム成形性を高め、製造効率を向上させると共に、優れた物性を実現しました。また、ゼラチンを基材とした腸溶性皮膜技術も、pH依存的な溶解制御を可能にし、医薬品分野での応用が進んでいます。これらの基本技術は、カプセル製剤の品質と機能性の向上に大きく貢献しています。

2. 機能性付与技術

HPMCアセテートサクシネートを用いた腸溶性制御技術は、より効果的な薬物送達を実現しました。この技術により、胃での分解を防ぎつつ、腸での放出を最適化することが可能になりました。また、湿度制御技術は内容物の安定性を大幅に向上させ、特にビフィズス菌などの生菌を含む製剤の保存安定性を高めることに成功しています。これらの技術革新により、より高機能な医薬品・健康食品の開発が可能になりました。

3. 製造技術

製造工程の効率化と品質向上を両立させる技術開発が進んでいます。水性コーティング技術の採用により、有機溶媒の使用を削減し、より環境に配慮した製造が可能になりました。また、品質管理技術の向上により、より安定した製品の供給が実現しています。これらの技術は、製造コストの低減と品質の向上に寄与しています。

3.今後のハードカプセル製剤における戦略的な出願方針

1. 重点出願領域と技術開発方針

重点領域具体的な出願テーマ出願タイミング具体例
製剤安定性水分制御技術2024-2025年1. 乾燥剤配合による水分調整機構 2. 水分移行制御用多層構造 3. 保存安定性向上用コーティング
2024-2026年1. 湿度応答性素材による水分制御 2. 水分バリア性向上用複合材料 3. 水分活性制御用添加剤
内容物保護2024-2025年1. 酸化防止用遮光コーティング 2. 温度安定化用緩衝材設計 3. 光分解防止用素材配合
2024-2026年1. 抗酸化剤の最適配合設計 2. 複合安定化システム 3. 相互作用防止用隔離構造
生体利用性溶解性向上2024-2025年1. 可溶化補助剤の配合設計 2. 微細化技術による表面積増大 3. 結晶性制御による溶解促進
吸収促進2024-2026年1. 吸収促進剤の最適化設計 2. 腸溶性コーティング技術 3. 放出制御用多層構造
標的送達2024-2027年1. pH応答性放出制御機構 2. 腸内細菌応答型放出設計 3. 時間依存型放出システム

補足説明:
特許情報の分析から、ハードカプセル製剤の開発は製剤の安定性向上と生物学的利用能の改善に焦点が当てられています。特に水分制御技術は、カプセル製剤の品質維持に重要な要素となっています。例えば、最適な水分量を3〜4%に調整することで、内容物の安定性が向上することが示されています。また、生体利用性の向上においては、難溶性成分の可溶化技術や吸収促進剤の活用が注目されています。腸溶性コーティングや放出制御技術と組み合わせることで、より効果的な薬物送達システムの構築が可能になると考えられます。製造技術の面では、粒子径制御や製剤均一性の確保など、品質の安定化に寄与する技術開発が重要です。これらの技術を組み合わせることで、高品質で効果的なハードカプセル製剤の開発が期待できます。

2. 技術分野別の出願方針

分野開発テーマ重要度具体例
材料設計基材開発1. 植物由来素材の活用技術 2. 生分解性素材の応用 3. 機能性高分子の開発
添加剤設計1. 天然由来安定化剤の活用 2. 相溶性向上用素材開発 3. 機能性添加剤の最適化
製造技術成形技術1. 精密成形プロセスの開発 2. 品質均一化技術の向上 3. 生産効率化システム
品質管理1. インライン品質評価技術 2. 非破壊検査システム 3. 自動化管理技術
評価技術性能評価1. 溶出性評価手法の開発 2. 安定性試験の効率化 3. 生物学的評価技術
分析手法1. 微量成分分析技術 2. 構造解析手法の確立 3. 品質予測システム

補足説明:
材料設計分野では、環境負荷低減と機能性向上の両立が求められています。特に、セルロース誘導体やキトサンなどの天然由来素材を活用した新規カプセル基材の開発が注目されています。また、製造技術の面では、品質の均一性確保と生産効率の向上が重要な課題となっています。例えば、インライン品質評価技術の導入により、製造工程の管理精度を向上させることが可能です。評価技術においては、より正確で効率的な性能評価手法の開発が進められています。生物学的評価技術と分析技術を組み合わせることで、製品の品質保証レベルを高めることができます。

3. 市場ニーズへの対応

市場ニーズ対応する技術開発優先度具体例
機能性向上有効性最大化1. 生体利用率向上技術 2. 標的指向性の付与 3. 放出制御の最適化
製品安全性品質保証1. 安全性評価技術の確立 2. 不純物管理手法の開発 3. 安定性保証システム
使用性改善服用性向上1. 飲みやすさの改善設計 2. サイズ最適化技術 3. 識別性向上手法
環境配慮環境負荷低減1. 生分解性材料の活用 2. リサイクル対応設計 3. 省資源化技術

補足説明:
市場ニーズの分析から、機能性と安全性の両立が最重要課題として浮かび上がっています。特に、生体利用率の向上技術は、製品の効果を最大化する上で重要です。例えば、難溶性成分の可溶化技術や吸収促進剤の活用により、有効成分の吸収性を改善することができます。また、品質保証の面では、不純物管理や安定性評価の技術開発が進められています。使用性の改善においては、高齢者や子供にも使いやすい製品設計が求められており、サイズや形状の最適化が重要です。環境配慮の観点からは、生分解性材料の活用やリサイクル対応設計など、環境負荷低減に向けた取り組みが必要とされています。これらの市場ニーズに対応した技術開発を進めることで、競争力のある製品開発が可能になります。

4.出願年と技術特徴の出願傾向

技術特徴2015201620172018201920202021202220232024合計
医薬化合物810128681084478
カプセル製剤6810686864264
天然物抽出688646684258
乳化技術468464642246
安定化技術466446442242
食品組成物446444462038
バイオ技術246444442236
製造方法244442442232
印刷技術224244222226
包装技術222222422020
その他468464642246
年別合計44607448525058522820486
  • 医薬化合物:医薬品として使用される化合物や薬理活性を持つ物質に関する技術
  • カプセル製剤:ハードカプセルやソフトカプセルの製剤化に関する技術
  • 天然物抽出:植物や生物由来の有効成分の抽出・精製に関する技術
  • 乳化技術:油性成分と水性成分を安定に混合する技術
  • 安定化技術:製剤の安定性を向上させる技術
  • 食品組成物:機能性食品や健康食品の組成に関する技術
  • バイオ技術:微生物や酵素を利用した生産・処理技術
  • 製造方法:製剤の製造工程や製造装置に関する技術
  • 印刷技術:製剤への印刷や識別表示に関する技術
  • 包装技術:製剤の包装や密封に関する技術
  • その他:上記分類に含まれない関連技術全般

補足説明:
2015年から2024年までの特許出願動向を分析すると、医薬化合物とカプセル製剤に関する技術が特に多く出願されています。2017年がピークとなっており、78件の出願がありました。近年は新型コロナウイルス感染症関連の医薬品開発や、高齢化社会に向けた製剤技術の開発が活発化しています。また、天然物抽出や乳化技術など、製剤の生物学的利用能を向上させる技術も継続的に開発されています。安定化技術や製造方法に関する特許も一定数出願されており、製剤の品質向上や生産効率化への取り組みが進められています。2023年以降は出願件数が減少傾向にありますが、これは特許公開までのタイムラグによる影響と考えられます。全体として、医薬品製剤の開発は着実に進展しており、特に患者の利便性向上や製剤の有効性を高める技術に注力されています。

5.出願人と技術特徴の出願傾向

出願人/技術特徴医薬化合物カプセル製剤天然物抽出乳化技術安定化技術食品組成物バイオ技術製造方法印刷技術包装技術その他合計
参天製薬8684462200242
ファンケル4864642200238
カプスゲル21224402604238
ユニゲン6482444200236
シード医療製薬4662442200232
日本ケミファ8422404200228
持田製薬4428202200226
佐々木食品工業2262280200226
三生医薬2824202202226
その他3810161410121610261428194
合計7864584642383632262046486

補足説明:
出願人と技術特徴の関係を分析すると、企業ごとに特徴的な技術傾向が見られます。参天製薬は医薬化合物と天然物抽出に強みを持ち、眼科領域の製品開発に注力しています。ファンケルはカプセル製剤と天然物抽出を中心に、健康食品分野での技術開発を進めています。カプスゲルはカプセル製剤の製造方法に特化し、製剤技術のリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。ユニゲンは天然物抽出と医薬化合物の開発に重点を置いています。全体として、各企業が自社の強みを活かした技術開発を行いながら、製剤技術の革新に取り組んでいることが分かります。

6.出願年と出願人の出願傾向

出願人2015201620172018201920202021202220232024合計
参天製薬02210022009
カプスゲル12200210008
ファンケル11001211108
ユニゲン10011021006
シード医療製薬00000005005
日本ケミファ00000210003
持田製薬01010101004
佐々木食品工業04000000004
三生医薬10010000002
その他71413121516121186114
年別合計112417161723192196163

補足説明:
出願年と出願人の傾向を分析すると、2016年と2020年に出願のピークがあり、それぞれ24件と23件の出願がありました。上位10社の中では、参天製薬が9件で最も多く、続いてカプスゲルとファンケルが各8件の出願を行っています。近年では、シード医療製薬が2022年に集中的に5件の出願を行うなど、特徴的な動きが見られます。2023年以降は出願件数が減少していますが、これは特許公開までのタイムラグによるものと考えられます。また、その他の出願人による出願が全体の約70%を占めており、この技術分野では多様な企業が研究開発を行っていることが分かります。

7.総括

第1階層第2階層第3階層説明(代表公報)
1. カプセル基本技術1.1 カプセル材料1.1.1 セルロース系ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体を用いたカプセル製造技術(JP2019127477
1.1.2 ゼラチン系ゼラチンを主成分とするカプセル製造技術(JP2024542307
1.1.3 植物性材料でんぷん質等の植物由来材料を用いたカプセル製造技術(JP2020507642
1.2 機能性付与1.2.1 腸溶性胃での溶解を防ぎ、腸で溶解するカプセル技術(JP2020138926
1.2.2 遮光性光から内容物を保護する遮光機能付与技術(WO2024063039
1.2.3 シール性カプセルの密封性を向上させる技術(JP2018536622
1.3 製造方法1.3.1 浸漬成形ピンを浸漬してカプセルを成形する技術(JP2022000042
1.3.2 バンディングカプセルの接合部を密封する技術(JP2018030863
1.3.3 コーティングカプセル表面に機能性コーティングを施す技術(JP2019182746
2. 内容物技術2.1 医薬品2.1.1 難溶性薬物難溶性薬物の溶解性・吸収性を改善する技術(JP2022511723
2.1.2 生理活性物質ペプチドやタンパク質等の生理活性物質の安定化技術(JP2023526980
2.1.3 漢方薬漢方薬や生薬成分のカプセル化技術(JP2018509428
2.2 機能性食品2.2.1 ビタミン類ビタミン類の安定化・吸収性改善技術(JP2023526980
2.2.2 脂質ω-3脂肪酸等の脂質成分の安定化技術(JP2018048163
2.2.3 プロバイオティクス乳酸菌等の生菌カプセル化技術(JP2024172991
2.3 安定化技術2.3.1 乳化油性成分の乳化安定化技術(JPWO2016031954
2.3.2 固体分散難溶性成分の固体分散化技術(JP2021059540
2.3.3 抗酸化内容物の酸化防止技術(JP2018057329
3. 製造管理技術3.1 品質管理3.1.1 外観検査カプセルの外観品質を検査する技術(JP2020022645
3.1.2 内容物検査内容物の均一性や安定性を検査する技術(JP2022541122
3.1.3 物性評価カプセルの崩壊性や溶出性を評価する技術(JP2024063039
3.2 製造装置3.2.1 成形装置カプセルを成形する装置技術(JP2022000042
3.2.2 充填装置内容物を充填する装置技術(JP2022511723
3.2.3 印刷装置カプセルへの印字技術(JP2020022645
3.3 工程管理3.3.1 環境管理製造環境の温湿度管理技術(JP2018199631
3.3.2 プロセス管理製造工程の監視・制御技術(JP2022541122
3.3.3 品質保証製品の品質を保証するシステム技術(JP2020022645
4. 応用技術4.1 用途開発4.1.1 医療用医療用途向けのカプセル技術(JP2023526980
4.1.2 食品用食品用途向けのカプセル技術(JP2024172991
4.1.3 化粧品用化粧品用途向けのカプセル技術(WO2018030389
4.2 機能応用4.2.1 放出制御内容物の放出を制御する技術(JP2022074974
4.2.2 ターゲティング特定部位への送達を目指す技術(JP2020138926
4.2.3 複合機能複数の機能を組み合わせた技術(JP2024172991
4.3 新規応用4.3.1 環境対応環境負荷低減を目指すカプセル技術(JP2022000042
4.3.2 スマート化センサー等を組み込んだ高機能化技術(JP2018519130
4.3.3 バイオ応用バイオ技術を応用したカプセル技術(JP2024172991

7-1.出願年

特許情報の出願年は2015年から2024年まで幅広く分布しています。直近の2021-2024年の出願が多く、ハードカプセル技術の研究開発が活発に行われていることが分かります。カプセル技術の基本的な改良から新しい機能性の付与まで、様々な技術開発が進められています。

  • 出願期間:2015年~2024年
  • 最も出願が多い期間:2021年~2024年
  • 近年の傾向:機能性付与技術の増加

補足説明:
出願年の分布を見ると、基本的なカプセル製造技術から始まり、徐々に高機能化や新しい用途開発へと技術開発の方向性が変化していることが分かります。特に2021年以降は、腸溶性や遮光性などの機能を付与する技術や、新しい内容物に対応するための技術開発が増加しています。また、製造管理や品質管理に関する技術開発も継続的に行われており、より安定した品質のカプセル製剤を製造するための技術が蓄積されています。これらの技術開発により、医薬品や機能性食品などの分野で、より効果的な製品開発が可能になっています。

7-2.出願人

出願人は、製薬会社、食品会社、素材メーカー、装置メーカーなど多岐にわたっています。特に目立つのは、カプセル製造に特化した企業や製薬会社の出願です。また、大学や研究機関との共同出願も見られ、基礎研究から実用化まで幅広い開発が行われています。

  • 多様な業種の企業が出願
  • 製薬会社やカプセル専門メーカーの出願が多い
  • 産学連携による共同出願も存在

補足説明:
出願人の分布から、カプセル技術が様々な分野で活用されていることが分かります。製薬会社は主に医薬品向けの技術開発を、食品会社は機能性食品向けの技術開発を行っています。カプセル専門メーカーは、基本的な製造技術や新しい材料開発に力を入れています。また、装置メーカーは製造装置や検査装置の技術開発を行っています。このように、各企業が得意分野を活かしながら技術開発を進めていることが特徴です。大学や研究機関との共同開発では、新しい材料や製造方法の基礎研究が行われており、これらの成果が実用化につながっています。

7-3.特徴技術①:基本技術

カプセルの基本技術として、材料技術、機能性付与技術、製造方法に関する技術が開発されています。特に、セルロース系やゼラチン系の材料技術、腸溶性や遮光性などの機能性付与技術、浸漬成形やコーティングなどの製造技術が中心となっています。

  • 様々な材料を活用したカプセル製造技術
  • 目的に応じた機能性付与技術
  • 効率的な製造方法の開発

補足説明:
カプセルの基本技術は、材料、機能性、製造方法の3つの要素から構成されています。材料技術では、セルロース誘導体やゼラチン、植物性材料などを使用し、それぞれの特性を活かした開発が行われています。機能性付与技術では、胃での溶解を防ぐ腸溶性や、内容物を光から保護する遮光性など、目的に応じた機能が付与されています。製造方法では、浸漬成形による効率的なカプセル製造や、バンディングによる確実な密封、コーティングによる機能性付与など、様々な技術が組み合わされています。これらの基本技術の組み合わせにより、高品質なカプセル製剤の製造が可能になっています。

7-4.特徴技術②:内容物技術

カプセルに充填する内容物に関する技術開発も活発に行われています。医薬品、機能性食品、安定化技術など、様々な分野での技術開発が見られます。特に、難溶性成分の可溶化技術や生理活性物質の安定化技術が重要な技術となっています。

  • 医薬品の溶解性・吸収性改善技術
  • 機能性食品の安定化技術
  • 内容物の品質保持技術

補足説明:
内容物技術は、医薬品、機能性食品、安定化技術の3つの分野で発展しています。医薬品分野では、難溶性薬物の溶解性向上や生理活性物質の安定化技術が開発されています。機能性食品分野では、ビタミン類やω-3脂肪酸、プロバイオティクスなどの安定化技術が確立されています。安定化技術としては、乳化技術や固体分散技術、抗酸化技術などが活用されています。これらの技術により、内容物の効果を最大限に引き出し、長期保存が可能な製品開発が実現しています。

7-5.特徴技術③:製造管理技術

カプセル製剤の品質を確保するための製造管理技術も重要な技術分野です。品質管理、製造装置、工程管理など、様々な観点からの技術開発が行われています。特に、自動化や品質保証システムの開発が進められています。

  • 品質管理システムの確立
  • 製造装置の自動化技術
  • 工程管理の効率化技術

補足説明:
製造管理技術は、品質管理、製造装置、工程管理の3つの側面から構成されています。品質管理では、外観検査、内容物検査、物性評価などの技術が確立されています。製造装置では、成形装置、充填装置、印刷装置などの自動化が進められています。工程管理では、環境管理、プロセス管理、品質保証などのシステム化が図られています。これらの技術により、安定した品質のカプセル製剤を効率的に製造することが可能になっています。特に、製造工程の自動化や品質管理システムの導入により、生産性の向上と品質の安定化が実現されています。

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