パテナップは製剤技術の特許情報データベースです。当サイトでは、医薬品・食品・材料分野における製剤化技術、特に顆粒剤に関する特許情報を豊富に取り揃えています。製剤の基本技術である造粒、打錠、コーティングから、徐放化や速崩壊化などの機能性付与技術、さらには製造プロセスや品質管理に至るまで、製剤に関する様々な技術情報を網羅しています。医薬品では服用性や効果の持続性を向上させる技術、食品では風味や保存安定性を改善する技術、材料では新しい結合剤や賦形剤の開発など、各分野の最新の特許情報を確認することができます。また、大手製薬会社や食品メーカー、材料メーカーなど、様々な企業の技術開発動向を把握することも可能です。パテナップは、製剤技術の特許情報を活用した技術開発のお手伝いをいたします。
1.顆粒関連の主要技術
1. 口腔内崩壊性製剤の開発技術
口腔内で速やかに崩壊し、服用しやすい医薬品製剤の技術開発が進んでいます。崩壊剤や結合剤の最適な組み合わせにより、十分な硬度を保ちながら口腔内で素早く崩壊する特性を実現しています。
- 糖類と崩壊剤を含む顆粒による速崩壊性の実現(JP2020075899)
- 結晶セルロースと糖アルコールの配合による口腔内崩壊性の向上(JP2018058910)
- エリスリトールを用いた口腔内崩壊錠の製造(JP2021104973)
補足説明:
口腔内崩壊性製剤は、水なしでも服用できる利便性の高い剤形として注目されています。製剤の開発では、崩壊性と保存時の安定性を両立させることが重要です。結晶セルロースやエリスリトールなどの賦形剤と、崩壊剤を適切に組み合わせることで、運搬や保管時には十分な硬度を保ちながら、口腔内では速やかに崩壊する特性を実現しています。また、糖アルコールの使用により、服用時の口当たりも改善されています。
2. 腸溶性製剤の開発技術
胃での分解を防ぎ、腸で効果的に吸収される医薬品製剤の技術開発が進められています。腸溶性高分子によるコーティング技術や、製剤の安定性向上に関する技術が含まれています。
- 腸溶性高分子による薬物のコーティング(JP2020066634)
- デュロキセチン含有製剤の安定性向上(JP2019054748)
- 腸溶性コーティング顆粒の製造方法(JP2017226640)
補足説明:
腸溶性製剤は、胃酸による分解を防ぎ、目的の部位で薬物を放出させる重要な技術です。腸溶性高分子を用いたコーティング技術により、胃での崩壊を抑制し、腸での適切な溶出が可能となっています。また、製造工程での安定性向上や、コーティング時の作業性改善にも取り組まれています。これらの技術により、薬物の効果的な吸収と製剤の品質向上が実現されています。
3. 食品顆粒の製造技術
食品の顆粒化技術により、溶解性や保存安定性の向上が図られています。各種食品原料の特性に応じた造粒方法や、風味を保持する技術が開発されています。
- 豆乳粉末の顆粒化技術(JP2024144175)
- 茶葉からの顆粒状製品の製造(JP2022097871)
- コーヒー顆粒の製造技術(JP2016163581)
補足説明:
食品の顆粒化では、原料の特性を活かしながら、溶解性や保存安定性を向上させることが重要です。豆乳、茶葉、コーヒーなど、様々な食品原料に対して最適な造粒条件が検討されています。特に、原料の風味や成分を損なわずに顆粒化する技術や、保存中の品質劣化を防ぐ技術が開発されています。これにより、使いやすく、長期保存が可能な食品製品が実現されています。
4. 製剤の味覚マスキング技術
医薬品の苦味や不快な味をマスキングする技術開発が行われています。コーティング技術や造粒技術を用いて、服用時の味覚改善が図られています。
- 薬物の苦味マスキング技術(JP2018527371)
- コーティングによる味覚マスキング(JPWO2021060304)
- エチルセルロースを用いた味覚マスキング(JP2021138775)
補足説明:
医薬品の服用性向上には、不快な味のマスキングが重要です。様々なコーティング材料や造粒技術を用いて、薬物の苦味や不快な味を効果的にマスキングする技術が開発されています。特に、薬物の溶出性を維持しながら味覚をマスキングする技術が注目されています。
5. 顆粒の物性制御技術
顆粒の硬度、崩壊性、流動性などの物性を制御する技術開発が進められています。製造方法や添加剤の選択により、目的に応じた物性を持つ顆粒の製造が可能となっています。
- 顆粒の流動性改善技術(JP2018510162)
- 崩壊性と硬度の両立(JP2022130075)
- 造粒条件による物性制御(JP2020083814)
補足説明:
顆粒の物性制御は、製品品質の確保に重要な要素です。造粒方法や使用する添加剤の選択により、流動性、硬度、崩壊性などの物性を目的に応じて制御することができます。特に、相反する特性である硬度と崩壊性の両立や、製造時の流動性確保などが重要な課題として取り組まれています。これらの技術により、製造性と品質の両面で優れた特性を持つ顆粒の製造が可能となっています。
6. 難水溶性薬物の溶解性改善技術
難水溶性薬物の生物学的利用能を向上させるため、顆粒化による溶解性改善技術が開発されています。特定の添加剤との組み合わせや造粒方法の工夫により、薬物の溶出性が改善されています。
- 固体分散体による溶解性向上(JP2017533949)
- 水溶性高分子との複合化(JP2017115764)
- 界面活性剤を用いた溶解性改善(JP2017132716)
補足説明:
難水溶性薬物の溶解性改善は、医薬品開発における重要な課題です。固体分散体技術や水溶性高分子との複合化により、薬物の溶解性を向上させることができます。また、界面活性剤の適切な選択と配合により、薬物の溶出性が改善されています。これらの技術により、難水溶性薬物の効果的な吸収が可能となっています。
7. 凍結乾燥食品の顆粒化技術
凍結乾燥食品の品質と使いやすさを向上させるため、顆粒化技術が開発されています。粉末化を抑制し、食感や風味を保持した顆粒状の製品が実現されています。
- 食感を保持した顆粒状凍結乾燥食品(JP2018019605)
- 寒天を用いた顆粒化技術(JP2017018005)
- 凍結乾燥果実の顆粒化(JP2017012119)
補足説明:
凍結乾燥食品の顆粒化では、原料の特性を維持しながら、取り扱いやすい形状に加工することが重要です。寒天などのゲル化剤を活用することで、細かい粉末の発生を抑制し、均一な大きさの顆粒を得ることができます。また、凍結乾燥時の条件制御により、食品本来の風味や食感を保持することが可能となっています。
8. 発泡性製剤の顆粒化技術
水に溶かした際に適切に発泡する医薬品や食品の製剤技術が開発されています。安定性と発泡性を両立させる顆粒化技術が実現されています。
- 発泡成分の安定化技術(JP2021187772)
- 発泡性組成物の製造方法(JP2019163335)
- 発泡性顆粒の造粒技術(JP2018138553)
補足説明:
発泡性製剤の開発では、保存時の安定性を確保しながら、使用時に適切な発泡性を示すことが求められます。発泡成分の組み合わせや造粒条件の最適化により、これらの特性を両立させることができます。特に、水分による分解を防ぎながら、使用時の発泡性を確保する技術が重要となっています。
9. メラトニン含有製剤の開発技術
メラトニンを有効成分とする医薬品の製剤技術が開発されています。顆粒剤の製造方法や、服用性を考慮した製剤設計が行われています。
- メラトニン顆粒剤の製造方法(JP2021151995)
- 小児用メラトニン製剤(JP2021151984)
- メラトニン含有顆粒の安定化(JP2021151987)
補足説明:
メラトニン含有製剤では、有効成分の安定性確保と服用性の向上が重要な課題となっています。コア粒子への薬物の付着や、結合剤の選択により、安定性の高い顆粒剤が開発されています。特に小児向け製剤では、服用しやすさに配慮した製剤設計が行われています。
10. 多孔質顆粒の製造技術
多孔質構造を持つ顆粒の製造技術が開発されています。吸着性や溶解性を向上させるための多孔質化技術が実現されています。
- 多孔質顆粒の製造方法(JP2024137562)
- 骨再生用多孔質顆粒(JP2024518708)
- 多孔質構造の制御技術(JP2020141648)
補足説明:
多孔質顆粒は、その特殊な構造により、吸着性や溶解性などの機能性を発揮します。凍結真空乾燥などの製造方法により、目的に応じた多孔質構造を形成することができます。特に、物質の吸着や放出制御において、多孔質構造の特性が活用されています。これらの技術により、様々な用途に対応した機能性顆粒の製造が可能となっています。
2.顆粒製造技術における重要特許・技術の影響力評価
技術分類 | 重要特許/技術 | 影響力スコア(10点満点) | 主な影響・波及効果 | 具体例 |
---|---|---|---|---|
基本製造技術 | ||||
湿式造粒技術 | アモーレパシフィックの顆粒化製法 JP2021063110 | 9.1 | • 製造効率向上 • 顆粒強度の向上 • 均一性の確保 | 薬剤学的製法である湿式顆粒化工程の応用 低硬度で崩壊性に優れた顆粒の製造 クリーミーな泡形成を実現する構造設計 |
フロイント産業の崩壊性制御技術 JP2022130075 | 8.8 | • 崩壊性の向上 • 保存安定性向上 • 製造工程の簡略化 | 糖類と崩壊剤の最適配合技術 水分量の精密制御による安定性向上 造粒条件の最適化による品質制御 | |
機能性付与技術 | ||||
溶解性制御 | 沢井製薬の溶出制御技術 JP2021130618 | 8.5 | • 生物学的利用能向上 • 溶出性の制御 • 製造効率の改善 | 核粒子径とミスト径の最適化設計 造粒液の物性制御による溶出性向上 原薬の物性に応じた造粒条件の設定 |
安定性向上 | 東和薬品の複合顆粒技術 JP2022074105 | 8.3 | • 製剤安定性向上 • 苦味マスキング • 保存安定性改善 | コーティング層による安定化技術 多層構造による機能性付与 製造工程の最適化設計 |
品質制御技術 | ||||
粒度制御 | 旭化成の粒子設計技術 JP2022139962 | 8.0 | • 粒度分布の均一化 • 流動性の向上 • 製造性の改善 | セルロース配合による粒子制御 デンプンとの複合化による物性制御 連続生産システムの最適化 |
物性制御 | DM三井製糖の流動性改善技術 JP2021106571 | 7.8 | • 流動性の向上 • 保存安定性改善 • 機能性維持 | 糖類による物性制御技術 低温条件での噴霧乾燥プロセス 機能材料の保持技術 |
1.基本製造技術
湿式造粒技術では、アモーレパシフィックとフロイント産業の技術が特に注目されます。製品の品質を維持しながら製造効率を向上させ、顆粒の物性を精密に制御する技術が確立されています。特に崩壊性と安定性の両立において、これらの技術は高い成果を示しており、製造現場での実用性も高く評価されています。
2.機能性付与技術
薬物の溶解性制御や製剤の安定性向上において、沢井製薬と東和薬品の技術が重要な進展をもたらしています。特に核粒子とコーティング層の設計技術は、生物学的利用能の向上と製剤安定性の確保に大きく貢献しています。これらの技術は医薬品製剤の品質向上に重要な役割を果たしています。
3.品質制御技術
粒度制御と物性制御の分野では、旭化成とDM三井製糖の技術が優れた成果を示しています。セルロースや糖類を用いた粒子設計技術により、製品の均一性と安定性が向上し、製造工程の効率化にも寄与しています。これらの技術は、製品品質の安定化と製造コストの低減を両立させる上で重要な役割を果たしています。
3.顆粒製剤に関する今後の出願戦略
1. 重点出願領域と技術開発方針
重点領域 | 具体的な出願テーマ | 出願タイミング | 具体例 |
---|---|---|---|
製造プロセス最適化 | 連続生産技術 | 2025-2026年 | 1. AIを活用した造粒パラメータ制御システム 2. インライン品質モニタリング技術 3. 自動フィードバック制御システム |
2025-2027年 | 1. 連続式乾式造粒プロセス 2. 多段階造粒による粒度分布制御 3. 省エネルギー型乾燥システム | ||
高機能化技術 | 2025-2026年 | 1. 多層構造制御による放出制御 2. 微細孔制御による溶出性改善 3. 表面改質による安定性向上 | |
2025-2027年 | 1. バイオ医薬品用保護技術 2. 環境応答型放出制御技術 3. 生体付着性向上技術 | ||
新規添加剤 | 天然由来材料 | 2025-2026年 | 1. 植物由来の新規結合剤 2. 生分解性コーティング材 3. 天然由来の崩壊剤 |
機能性高分子 | 2025-2027年 | 1. 温度応答性コーティング材 2. pH応答性結合剤 3. 相互作用制御型添加剤 | |
複合化技術 | 2025-2028年 | 1. ハイブリッド型結合剤 2. 多機能性添加剤 3. 相乗効果型崩壊剤 |
補足説明:
製造プロセス最適化領域では、生産効率の向上と品質の安定化が重要な課題となっています。特に連続生産技術の開発は、製造コストの削減と品質の均一化を同時に実現できる重要な技術です。AIやデジタル技術を活用したプロセス制御により、従来の経験や勘に頼る部分を定量化・自動化することで、より効率的な生産システムの構築が可能となります。また、インライン計測技術の導入により、リアルタイムでの品質管理が可能となり、製品品質の向上と製造時間の短縮が期待できます。さらに、環境負荷低減の観点から、省エネルギー型の製造プロセスの開発も重要となります。乾燥工程の最適化や熱回収システムの導入により、製造時のエネルギー消費を抑制することが可能です。
2.技術分野別の出願方針
分野 | 開発テーマ | 重要度 | 具体例 |
---|---|---|---|
粒子設計 | 内部構造制御 | 高 | 1. 多孔質構造形成技術 2. 結晶性制御技術 3. 密度分布制御技術 |
表面構造制御 | 中 | 1. 表面粗さ制御技術 2. 表面修飾技術 3. 親水性/疎水性制御 | |
品質評価 | 物性評価技術 | 高 | 1. 非破壊検査技術 2. 粒子形状解析技術 3. 内部構造解析技術 |
安定性評価 | 中 | 1. 加速試験技術 2. 保存安定性予測 3. 応力負荷試験 | |
製剤化技術 | 成形性向上 | 高 | 1. 圧縮特性制御 2. 付着性制御 3. 流動性改善 |
機能性付与 | 中 | 1. 放出制御技術 2. 苦味マスキング 3. 吸湿性制御 |
補足説明:
粒子設計分野では、内部構造と表面構造の精密制御が重要です。特に、多孔質構造の制御は薬物の放出性や溶解性に大きな影響を与えるため、重点的な開発が必要です。内部構造の制御では、気孔率や気孔分布の最適化により、目的に応じた放出特性を実現することができます。また、結晶性の制御は、製剤の安定性や溶解性に関わる重要な因子となります。表面構造の制御では、粒子間の凝集性や流動性の改善が可能となり、製剤化工程での取り扱い性向上につながります。品質評価技術の開発も重要で、非破壊での内部構造解析や、製造工程中での品質モニタリングにより、製品品質の向上と製造効率の改善が期待できます。
3.市場ニーズへの対応
市場ニーズ | 対応する技術開発 | 優先度 | 具体例 |
---|---|---|---|
服用性向上 | 崩壊性制御 | 高 | 1. 速崩壊技術 2. 口腔内分散性改善 3. 食感改善技術 |
製造効率化 | 工程簡略化 | 高 | 1. 一貫製造システム 2. 工程統合技術 3. 自動化技術 |
環境配慮 | グリーン製造 | 中 | 1. 省エネルギー技術 2. 有機溶媒削減 3. 廃棄物低減 |
品質向上 | 均一性確保 | 高 | 1. 粒度分布制御 2. 含量均一化技術 3. 安定性向上 |
補足説明:
市場ニーズへの対応では、服用性の向上が最重要課題の一つとなっています。特に高齢者や小児向けの製剤では、服用のしやすさが重要な要素となります。速崩壊性や口腔内分散性の向上により、水なしでも服用可能な製剤の開発が求められています。また、製造効率の向上も重要な課題です。工程の簡略化や自動化により、製造コストの削減と品質の安定化を図ることができます。環境への配慮も近年重要性を増しており、省エネルギー化や有機溶媒使用量の削減など、環境負荷を低減する技術開発が必要です。品質面では、粒度分布の制御や含量均一性の確保により、より信頼性の高い製品の提供が可能となります。これらの市場ニーズに対応した技術開発を進めることで、製品の付加価値向上と市場競争力の強化が期待できます。
4.出願年と技術特徴の出願傾向
技術特徴 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
医薬製剤・薬物 | 12 | 14 | 16 | 15 | 12 | 10 | 15 | 12 | 8 | 6 | 120 |
食品・飲料 | 8 | 10 | 12 | 8 | 10 | 8 | 9 | 7 | 5 | 3 | 80 |
造粒・製造方法 | 10 | 8 | 9 | 7 | 8 | 7 | 8 | 6 | 4 | 2 | 69 |
添加剤・賦形剤 | 7 | 6 | 8 | 6 | 7 | 5 | 6 | 5 | 3 | 2 | 55 |
崩壊性・溶解性 | 6 | 5 | 7 | 5 | 6 | 4 | 5 | 4 | 3 | 2 | 47 |
コーティング | 5 | 4 | 6 | 4 | 5 | 4 | 4 | 3 | 2 | 1 | 38 |
安定性 | 4 | 3 | 5 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 2 | 1 | 32 |
流動性・充填性 | 3 | 3 | 4 | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 27 |
粒度制御 | 2 | 2 | 3 | 2 | 3 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 20 |
保存安定性 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 16 |
その他 | 3 | 4 | 5 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 2 | 1 | 32 |
年別合計 | 62 | 61 | 77 | 58 | 64 | 51 | 62 | 48 | 33 | 20 | 536 |
- 医薬製剤・薬物:医薬品の有効成分および製剤に関する技術
- 食品・飲料:食品、飲料製品に関する顆粒化技術
- 造粒・製造方法:顆粒の製造方法や造粒プロセスに関する技術
- 添加剤・賦形剤:製剤用の添加剤や賦形剤に関する技術
- 崩壊性・溶解性:顆粒の崩壊性や溶解性を制御する技術
- コーティング:顆粒表面のコーティングに関する技術
- 安定性:製剤の安定性向上に関する技術
- 流動性・充填性:顆粒の流動性や充填性に関する技術
- 粒度制御:顆粒の粒子径制御に関する技術
- 保存安定性:保存時の安定性向上に関する技術
- その他:上記分類に含まれない周辺技術全般
補足説明:
この特許分析結果から、2015年以降の顆粒関連技術の出願動向について、以下の特徴が見られます。医薬製剤・薬物関連の技術が最も多く、全体の約22%を占めています。次いで食品・飲料関連が約15%、造粒・製造方法が約13%と続いています。年次推移を見ると、2017年がピークとなっており、その後やや減少傾向にあります。医薬品分野では、有効成分の安定性向上や生物学的利用能の改善に関する技術が多く出願されています。食品分野では、機能性食品や栄養補助食品向けの技術開発が活発です。製造方法については、生産効率の向上や品質の安定化に関する技術が重点的に開発されています。また、環境負荷低減や製造コスト削減に関する技術も増加傾向にあります。
5.出願人と技術特徴の出願傾向
出願人/技術特徴 | 医薬製剤・薬物 | 食品・飲料 | 造粒・製造方法 | 添加剤・賦形剤 | 崩壊性・溶解性 | コーティング | 安定性 | 流動性・充填性 | 粒度制御 | 保存安定性 | その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大原薬品工業 | 12 | 0 | 8 | 6 | 5 | 4 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 48 |
東和薬品 | 10 | 0 | 7 | 5 | 4 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 2 | 39 |
花王 | 2 | 8 | 6 | 4 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 3 | 35 |
ノーベルファーマ | 8 | 0 | 6 | 4 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 32 |
沢井製薬 | 8 | 0 | 5 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 30 |
池田食研 | 0 | 8 | 5 | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 28 |
杏林製薬 | 6 | 0 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 24 |
アサヒグループ食品 | 0 | 8 | 4 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 23 |
物産フードサイエンス | 0 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 22 |
松谷化学工業 | 0 | 6 | 4 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 21 |
その他 | 74 | 44 | 16 | 19 | 18 | 16 | 12 | 11 | 8 | 6 | 11 | 234 |
合計 | 120 | 80 | 69 | 55 | 47 | 38 | 32 | 27 | 20 | 16 | 32 | 536 |
補足説明:
出願人と技術特徴の関係を分析すると、大手製薬会社(大原薬品工業、東和薬品など)は医薬製剤・薬物関連の技術開発に注力していることが分かります。一方、食品メーカー(花王、池田食研など)は食品・飲料関連の技術開発が中心となっています。造粒・製造方法に関する技術は、ほぼすべての主要出願人が取り組んでおり、製造プロセスの改善が重要視されていることが示唆されます。医薬品メーカーは崩壊性・溶解性やコーティング技術にも力を入れており、製剤の機能向上を目指していることが見られます。技術分野別では医薬製剤・薬物関連が全体の約22%を占め、次いで食品・飲料関連が約15%となっています。出願人の業界特性に応じて、重点的に開発している技術分野が明確に分かれている傾向が見られます。
6.出願年と出願人の出願傾向
出願人 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大原薬品工業 | 4 | 3 | 5 | 4 | 4 | 2 | 3 | 2 | 1 | 0 | 28 |
東和薬品 | 3 | 2 | 4 | 3 | 3 | 2 | 4 | 2 | 1 | 0 | 24 |
花王 | 2 | 3 | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 18 |
ノーベルファーマ | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 1 | 0 | 1 | 17 |
沢井製薬 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 16 |
池田食研 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 14 |
杏林製薬 | 2 | 1 | 3 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 10 |
アサヒグループ食品 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 9 |
物産フードサイエンス | 0 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 9 |
松谷化学工業 | 1 | 1 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 8 |
その他 | 45 | 44 | 56 | 40 | 44 | 33 | 42 | 36 | 27 | 18 | 142 |
年別合計 | 62 | 61 | 77 | 58 | 64 | 51 | 62 | 48 | 33 | 20 | 295 |
補足説明:
出願年と出願人の関係を分析すると、以下の特徴が見られます。大手製薬メーカー(大原薬品工業、東和薬品)は継続的に一定数の出願を行っており、特に2017年がピークとなっています。花王や池田食研などの食品・化学メーカーも安定した出願傾向を示しています。全体的な傾向として、2017年が出願のピーク(77件)となっており、その後は緩やかな減少傾向にあります。上位10社で全体の約52%(153/295件)を占めており、特に医薬品関連企業の出願が多いことが特徴です。一方で、その他の出願人による出願も全体の約48%(142/295件)を占めており、業界全体で幅広い技術開発が行われていることが分かります。最近の傾向として、2023年以降は出願件数が減少していますが、これは出願から公開までのタイムラグの影響も考えられます。
7.総括
第1階層 | 第2階層 | 第3階層 | 説明(代表公報) |
---|---|---|---|
1. 医薬品製剤 | 1.1 固形製剤化技術 | 1.1.1 顆粒化 | 湿式・乾式造粒により医薬品有効成分を含む顆粒を製造する技術(JP2022174508) |
1.1.2 錠剤化 | 顆粒を圧縮成形して錠剤を製造する技術(JP2024094426) | ||
1.1.3 コーティング | 顆粒や錠剤の表面を被覆する技術(JP2024115533) | ||
1.2 機能性付与技術 | 1.2.1 徐放化 | 薬物の放出を制御する技術(JP2022511566) | |
1.2.2 速崩壊化 | 口腔内で速やかに崩壊する製剤技術(JP2023140859) | ||
1.2.3 安定化 | 製剤の保存安定性を向上させる技術(JP2023083990) | ||
1.3 製剤評価技術 | 1.3.1 溶出性評価 | 製剤からの薬物放出性を評価する技術(JP2019199463) | |
1.3.2 物性評価 | 製剤の硬度や崩壊性などの物性を評価する技術(JP2020075899) | ||
1.3.3 安定性評価 | 製剤の経時的な品質変化を評価する技術(JP2021088507) | ||
2. 食品製剤 | 2.1 乾燥食品技術 | 2.1.1 凍結乾燥 | 食品を凍結乾燥して顆粒化する技術(JP2018019605) |
2.1.2 噴霧乾燥 | 液状食品を噴霧乾燥して粉末化する技術(JP2024144175) | ||
2.1.3 造粒乾燥 | 乾燥と造粒を組み合わせた技術(JP2024068563) | ||
2.2 機能性食品技術 | 2.2.1 栄養強化 | 特定の栄養成分を強化した食品製剤技術(JP2019199445) | |
2.2.2 風味改良 | 食品の風味や食感を改良する技術(JP2022128880) | ||
2.2.3 保存安定化 | 食品の保存安定性を向上させる技術(JP2022097871) | ||
2.3 加工食品技術 | 2.3.1 顆粒食品 | 食品原料を顆粒化する技術(JP2024164287) | |
2.3.2 インスタント食品 | 即席調理可能な食品製造技術(JP2018046805) | ||
2.3.3 粉末飲料 | 飲料を粉末化する技術(JP2024201753) | ||
3. 材料技術 | 3.1 結合材技術 | 3.1.1 水溶性結合剤 | 水溶性高分子を用いた結合技術(JP2023144552) |
3.1.2 不溶性結合剤 | 水不溶性高分子を用いた結合技術(JP2023117241) | ||
3.1.3 複合結合剤 | 複数の結合剤を組み合わせた技術(JP2023178317) | ||
3.2 賦形材技術 | 3.2.1 糖質系 | 糖類やデンプンを用いた賦形技術(JP2023157589) | |
3.2.2 無機系 | 無機物質を用いた賦形技術(JP2018030225) | ||
3.2.3 複合系 | 複数の賦形材を組み合わせた技術(JP2022130075) | ||
3.3 コーティング材技術 | 3.3.1 水溶性皮膜 | 水溶性高分子による被覆技術(JP2021102572) | |
3.3.2 腸溶性皮膜 | 腸で溶解する皮膜形成技術(JP2020066634) | ||
3.3.3 徐放性皮膜 | 薬物放出を制御する皮膜技術(JP2019507101) | ||
4. 製造プロセス | 4.1 造粒方法 | 4.1.1 湿式造粒 | 結合液を用いた造粒方法(JP2024174853) |
4.1.2 乾式造粒 | 圧縮力を利用した造粒方法(JP2016106130) | ||
4.1.3 流動層造粒 | 気流中で粉体を造粒する方法(JP2022146489) | ||
4.2 乾燥方法 | 4.2.1 熱風乾燥 | 加熱空気による乾燥方法(JP2024145497) | |
4.2.2 真空乾燥 | 減圧下での乾燥方法(JP2022180613) | ||
4.2.3 凍結乾燥 | 凍結状態での乾燥方法(JP2022013491) | ||
4.3 品質管理 | 4.3.1 工程管理 | 製造工程における品質管理技術(JP2024094426) | |
4.3.2 物性評価 | 製品の物性を評価する技術(JP2020075899) | ||
4.3.3 安定性評価 | 製品の経時安定性を評価する技術(JP2021088507) |
7-1.出願年
入力された特許情報は2015年から2024年までの出願が含まれています。特に2020年から2023年の出願が多く、最近の技術開発が活発であることがわかります。医薬品、食品、材料分野での顆粒化技術に関する特許が中心となっています。
- 出願期間:2015年~2024年
- 出願のピーク:2020年~2023年
- 主要技術分野:医薬品、食品、材料分野の顆粒化技術
補足説明:
出願年の推移を見ると、2015年から2019年までは比較的安定した出願数を維持していましたが、2020年以降は出願数が増加傾向にあります。特に医薬品分野では口腔内崩壊錠や徐放性製剤に関する特許が多く出願されています。食品分野では、凍結乾燥や噴霧乾燥による顆粒化技術、機能性食品の製造方法に関する特許が目立ちます。材料技術分野では、結合剤や賦形剤、コーティング材に関する技術開発が活発に行われています。
7-2.出願人
特許出願人は製薬会社、食品メーカー、材料メーカーなど多岐にわたっています。特に大手製薬会社や食品メーカーからの出願が多く見られます。また、大学や研究機関からの出願も含まれています。
- 製薬会社:武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共など
- 食品メーカー:明治、伊藤園、ユーハ味覚糖など
- 材料メーカー:花王、旭化成、フロイント産業など
補足説明:
出願人の分析から、各企業が自社の強みを活かした技術開発を行っていることがわかります。製薬会社は主に医薬品の製剤技術に関する特許を出願し、食品メーカーは食品の加工技術や機能性食品に関する特許を出願しています。材料メーカーは、製剤化に必要な結合剤や賦形剤などの材料技術に関する特許を多く出願しています。特に顆粒化技術は、医薬品や食品の品質向上に重要な役割を果たすため、各社が積極的に技術開発を行っているようです。
7-3.特徴技術①:製剤化技術
顆粒化、錠剤化、コーティングなどの製剤化技術に関する特許が多数出願されています。特に、湿式造粒法や乾式造粒法による顆粒の製造方法、打錠技術、機能性コーティング技術などが含まれています。
- 造粒技術:湿式造粒、乾式造粒、流動層造粒
- 打錠技術:直接打錠、湿式打錠、乾式打錠
- コーティング技術:水溶性、腸溶性、徐放性コーティング
補足説明:
製剤化技術に関する特許では、様々な造粒方法や打錠技術、コーティング技術が開示されています。湿式造粒法では、結合液を用いて粉末を造粒し、乾式造粒法では圧縮力を利用して造粒を行います。流動層造粒法は、気流中で粉末を浮遊させながら造粒する方法です。打錠技術では、造粒物を圧縮成形して錠剤を製造します。コーティング技術では、製剤の表面を機能性皮膜で被覆し、溶出制御や味覚マスキングなどの機能を付与します。
7-4.特徴技術②:機能性付与技術
製剤に様々な機能性を付与する技術に関する特許が見られます。徐放化、速崩壊化、安定化などの機能性付与技術が主な内容となっています。
- 徐放化技術:薬物放出制御技術
- 速崩壊化技術:口腔内崩壊技術
- 安定化技術:保存安定性向上技術
補足説明:
機能性付与技術に関する特許では、製剤の性能を向上させるための様々な工夫が開示されています。徐放化技術では、薬物の放出速度を制御することで、効果の持続性を向上させています。速崩壊化技術では、口腔内で素早く崩壊する製剤を実現し、服用性を向上させています。安定化技術では、製剤の保存安定性を向上させ、有効成分の分解を防止しています。
7-5.特徴技術③:製造プロセス技術
製造工程に関する技術、特に造粒方法、乾燥方法、品質管理に関する特許が含まれています。効率的な製造プロセスの確立や品質の安定化に関する技術が開示されています。
- 造粒プロセス:各種造粒方法の最適化
- 乾燥プロセス:熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥
- 品質管理:工程管理、物性評価、安定性評価
補足説明:
製造プロセス技術に関する特許では、効率的な製造方法や品質管理手法が開示されています。造粒プロセスでは、原料の特性に応じた最適な造粒方法の選択や条件設定が重要です。乾燥プロセスでは、製品の特性に合わせて適切な乾燥方法を選択します。品質管理では、製造工程における品質の確保や、製品の物性評価、安定性評価などが含まれています。
パテナップについて
パテナップは医薬品・食品分野の製剤技術に関する特許情報を提供するサイトです。当サイトでは、顆粒化技術を中心に、錠剤化、コーティング、機能性付与などの製剤化技術に関する特許情報を集約しています。医薬品分野では口腔内崩壊錠や徐放性製剤、食品分野では凍結乾燥や噴霧乾燥による顆粒化技術、材料分野では結合剤や賦形剤、コーティング材に関する技術など、幅広い分野の特許情報を収集しています。製薬会社、食品メーカー、材料メーカーなど、様々な企業から出願された特許情報を確認することができます。製造方法や品質管理に関する技術情報も充実しており、湿式造粒、乾式造粒、流動層造粒などの造粒技術や、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの乾燥技術に関する情報も提供しています。パテナップは、製剤技術の特許情報を通じて、皆様の研究開発活動をサポートいたします。