パテナップは、ソフトカプセル技術に関する特許情報を分かりやすく解説するサイトです。当サイトでは、皮膜技術、内容物技術、機能性付与技術、用途開発技術の4つの分野に分類して技術動向を紹介しています。特に、ゼラチンを主体とする従来の皮膜から、植物性多糖類や合成高分子を用いた新しい皮膜まで、材料技術の進歩に注目しています。また、腸溶性や崩壊性を制御する機能性皮膜技術、ビタミンやカロテノイドなどの機能性成分の安定化技術、用途に応じた製剤設計技術など、実用的な情報を提供します。パテナップは、ソフトカプセルに関わる製薬会社、食品会社、カプセル製造メーカーの皆様の研究開発・知財活動をサポートいたします。

1.ソフトカプセル関連の主要技術

1. 崩壊時間制御技術

ソフトカプセルの崩壊時間を適切に制御することは、内容物の放出タイミングや吸収性に大きく影響します。皮膜組成の工夫や添加剤の選択により、目的に応じた崩壊特性を実現する技術が開発されています。

補足説明:
崩壊時間の制御には、皮膜基材としてのゼラチンに加え、さまざまな添加剤が活用されています。アミノ酸やその塩を配合することで、ビタミンCなどの内容物による皮膜の崩壊遅延を抑制できます。また、エリスリトールやキシリトールなどの糖アルコールを配合することで、グリセリンを含まなくても適度な柔軟性と崩壊性を持つ皮膜が得られます。さらに、低メトキシペクチンを用いることで腸溶性を付与し、胃での崩壊を抑制しつつ腸での放出を実現する技術も確立されています。

2. 非ゼラチン系皮膜技術

動物由来原料を使用しない、より幅広い用途に対応可能なソフトカプセル皮膜の開発が進められています。植物由来の素材や合成高分子を用いた新しい皮膜材料の研究が行われています。

補足説明:
非ゼラチン系皮膜の開発では、イオタカラギーナンとポリリジンの組み合わせによる新しい皮膜材料が注目されています。また、ジェランガムとデンプンを組み合わせることで、従来のゼラチン製カプセルと同等の強度や弾性を持つ皮膜が実現できます。寒天を使用した皮膜では、加熱殺菌工程にも耐えうる耐熱性と、食品に適した食感を両立させることができます。

3. 内容物の安定化技術

ソフトカプセルに充填される機能性成分の安定性を向上させる技術が開発されています。特に、酸化しやすい成分や結晶化しやすい成分の安定化に焦点が当てられています。

補足説明:
内容物の安定化には、適切な添加剤の選択が重要です。コエンザイムQ10では、特定の脂肪酸エステルを用いることで結晶析出を抑制し、均一な溶解状態を維持できます。魚油については、酵母細胞壁含有組成物の添加により不快臭を低減できます。カロテノイド類では、複数の乳化剤を組み合わせることで、均一な分散状態を維持しながら製剤安定性を向上させることができます。

4. 微小カプセル製造技術

粒子径が1mm未満の極小ソフトカプセルを製造する技術が開発されています。これにより、様々な用途に対応可能な新しい製剤形態が実現されています。

補足説明:
微小カプセルの製造には、特殊な装置や技術が必要です。三重ノズルを用いた方法では、内容液、皮膜液、キャリア液を同時に供給することで、均一な大きさの液滴を形成できます。ロータリーダイ法による製造では、減圧孔を利用して内容液を定量的に充填することができます。また、製造条件を最適化することで、球状や楕円体状など、目的に応じた形状のカプセルを得ることができます。

5. 物性制御技術

ソフトカプセルの硬度、弾力性、付着性などの物性を制御する技術が開発されています。使用目的に応じた最適な物性を実現することで、製品の品質向上が図られています。

補足説明:
物性制御には様々なアプローチがあります。破壊強度は、皮膜組成や製造条件を調整することで、目的に応じた値に設定できます。カプセル同士の付着や収容容器への付着は、表面処理や特殊な収容容器の設計により防止できます。また、ガムベースやアンヒドロガラクトース・硫酸化アンヒドロガラクトース共重合体を配合することで、咀嚼性を付与することもできます。これらの技術により、取扱性や使用感の向上が実現されています。

6. 乾燥制御技術

製造工程における乾燥条件の制御は、ソフトカプセルの品質に大きく影響します。空気流速や温度、湿度を適切に制御することで、高品質なカプセルを効率的に製造することができます。

補足説明:
乾燥工程では、約0.15m/sから約13m/sの速度で空気を供給し、カプセルシェルの融解温度より低い温度を維持しながら乾燥を行います。また、初期相対湿度を約49%RHから約79%RHに設定し、乾燥が進むにつれて相対湿度を下げていきます。エリスリトールを含む皮膜では、乾燥による水分含有率の低下に伴いエリスリトールが結晶化し、これにより遮光性などの機能が付与されます。

7. 遮光性付与技術

内容物を光から保護するための遮光性を持つソフトカプセル皮膜の開発が進められています。安全性の高い成分を用いて遮光性を付与する技術が実現されています。

補足説明:
遮光性の付与には、様々なアプローチがあります。炭酸カルシウムを皮膜原液に添加することで、光透過率を低下させることができます。また、カテキン類とテアフラビン類を組み合わせることで、内容物由来の臭気も抑制できます。エリスリトールを用いた方法では、乾燥工程でエリスリトールを結晶化させることで遮光性を付与します。

8. 特殊内容物充填技術

難溶性成分や水溶性成分など、特殊な性質を持つ内容物を安定的に充填する技術が開発されています。これにより、多様な機能性成分をソフトカプセルに封入することが可能になっています。

補足説明:
特殊内容物の充填には、それぞれの性質に応じた工夫が必要です。油状香料は、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を適切に選択することで安定的に封入できます。水溶性粉末は、特定の組み合わせの乳化剤を用いることで均一な分散状態を維持できます。また、還元水飴を媒体として使用することで、水溶性内容物を液体状態のまま安定的に充填することが可能になります。

9. シート成形技術

ソフトカプセル製造に用いる皮膜シートの成形技術が開発されています。シートの厚みを均一に制御し、高品質なカプセルを製造することができます。

補足説明:
シート成形では、マニホールドとスリット状の吐出口を持つ塗工具を用いて、均一な厚みのシートを形成します。また、カプセル形成後の残シートからカプセルを完全に分離するため、マングルローラーやストリップローラー、はたき部材などの機構が活用されています。さらに、冷却部材上で冷却しながら移動させることで、均一な品質のシートを得ることができます。

10. 再利用技術

ソフトカプセル製造時に発生する未使用皮膜材料の有効活用技術が開発されています。これにより、製造工程の効率化と資源の有効利用が図られています。

補足説明:
未使用皮膜材料の再利用では、ゼラチンやグリセリンを含む皮膜材料を熱可塑性樹脂と組み合わせることで、新たな樹脂組成物として活用することができます。この際、材料の組成を適切に調整することで、実用的な機械強度を持つ樹脂成形物が得られます。また、生分解性を有する樹脂組成物としての展開も可能です。

2.ソフトカプセルにおける重要特許・技術の影響力評価

技術分類重要特許/技術影響力スコア(10点満点)主な影響・波及効果具体例
基本構造・製造技術
カプセル皮膜中日本カプセルの非ゼラチン皮膜技術
JP2024057860
JP2016160227
9.2• 動物性原料不使用
• 製造効率向上
• 環境負荷低減
イオタカラギーナンとポリリジンの組合せ構造
ポリビニルピロリドンとの複合化技術
植物由来原料による皮膜形成技術
仙楽健康科技のデンプン系フィルム技術
JP2023502913
JP2023512402
8.8• 物性制御性向上
• コスト効率化
• 製造安定性向上
デンプンとジェランガムの配合最適化
ゲル化温度制御による成形性向上
強度と柔軟性のバランス制御
機能性・性能向上
腸溶性制御富士カプセルの腸溶性制御技術
JP2021100917
JP2020074836
8.5• 腸溶性能向上
• 製剤安定性向上
• 生産性向上
バレイショ澱粉の酸処理技術
イオタカラギーナンとジェランガムの複合化
皮膜強度と崩壊性の両立構造
崩壊制御アサヒグループの崩壊制御技術
JP2024159477
JP2024159479
8.2• 崩壊性能制御
• 安定性向上
• 品質均一化
アミノ酸と金属含有物の配合技術
酵母エキスによる崩壊制御
皮膜組成の最適化構造
内容物技術
安定化技術日清オイリオの内容物安定化技術
JPWO2020026946
JP2024135914
7.8• 内容物安定性向上
• 充填性向上
• 保存安定性向上
β型油脂による粘度制御技術
粉末油脂の粒子形状制御
不快臭抑制技術
乳化技術アリメント工業の乳化制御技術
JP2017186281
JP2017186282
7.5• 分散安定性向上
• 製剤均一性向上
• 製造効率化
極小カプセル製造技術
難油溶性成分の分散制御
定量充填制御技術

1. 基本構造・製造技術

植物由来原料を使用したカプセル皮膜技術が大きく進展しています。中日本カプセルは、イオタカラギーナンとポリリジンを組み合わせた非ゼラチン皮膜技術を開発し、動物性原料を使用しない製造方法を確立しました。また、仙楽健康科技はデンプンとジェランガムを組み合わせたフィルム形成技術により、物性制御性と製造安定性を向上させました。これらの技術により、製造効率の向上と環境負荷の低減が実現できます。

2. 機能性・性能向上

富士カプセルは腸溶性能を制御する技術を開発し、バレイショ澱粉の酸処理とイオタカラギーナンの複合化により、腸溶性と製剤安定性を両立させました。アサヒグループは、アミノ酸と金属含有物を組み合わせた崩壊制御技術により、崩壊性能の制御と品質の均一化を実現しました。これらの技術開発により、製剤の機能性と性能が向上しています。

3. 内容物技術

日清オイリオは、β型油脂を用いた粘度制御技術と粉末油脂の粒子形状制御により、内容物の安定性と充填性を向上させました。アリメント工業は、極小カプセル製造技術と難油溶性成分の分散制御技術を開発し、製剤の均一性と製造効率を向上させています。これらの技術により、内容物の安定性と品質が向上しています。

3.ソフトカプセルにおける戦略的な出願方針

1. 重点出願領域と技術開発方針

重点領域具体的な出願テーマ出願タイミング具体例
カプセル皮膜材料植物由来素材2025-2026年1. ジェランガムを用いた皮膜構造 2. カラギーナンベースの多層構造 3. ペクチン誘導体による強化構造
2025-2027年1. 澱粉誘導体による補強構造 2. 植物性タンパク質複合体 3. セルロース系素材との複合化
崩壊制御2025-2026年1. 多層構造による放出制御機構 2. 腸溶性皮膜の最適化設計 3. 水分応答型崩壊制御構造
2025-2027年1. 温度応答性崩壊制御 2. pHに応じた選択的崩壊機構 3. 酵素応答型放出制御構造
内容物技術乳化安定化2025-2026年1. 多重乳化構造の最適化 2. 界面活性剤複合体の設計 3. 粒子分散安定化技術
有効成分保護2025-2027年1. 抗酸化システムの構築 2. 水分制御による安定化構造 3. 熱応答性保護機構
放出制御2025-2028年1. 多相系による段階的放出 2. 温度応答性放出機構 3. 選択的吸収促進構造

補足説明:
カプセル皮膜材料の開発では、動物由来原料からの転換が重要なトレンドとなっています。特にジェランガムやカラギーナンなどの植物由来素材を活用した新しい皮膜構造の開発が注目されています。これらの素材は、従来のゼラチン皮膜と同等の機械的強度を持ちながら、より安定した製造が可能です。また、崩壊性や保存安定性の向上も期待できます。内容物技術では、機能性成分の安定性向上が重要です。特に油性成分と水性成分の両方を含む複合系での安定化技術や、有効成分の保護技術の開発が必要です。製造技術の面では、品質の安定化と生産性向上の両立が求められており、新しい製造方法や品質管理手法の開発も重要な課題です。

2. 技術分野別の出願方針

分野開発テーマ重要度具体例
製造技術連続製造システム1. 自動温度制御システム 2. 連続乳化処理装置 3. 品質インライン検査技術
成形精度向上1. 精密充填制御機構 2. 形状均一化技術 3. 密封性向上システム
機能性材料複合化技術1. 多糖類複合体形成技術 2. タンパク質変性制御 3. 相溶化促進構造
物性制御1. 粘弾性最適化技術 2. 応力分散構造設計 3. 熱安定性向上技術
品質評価安定性評価1. 加速試験手法開発 2. 非破壊検査技術 3. 経時変化予測システム
分析手法1. 成分均一性評価法 2. 構造解析技術 3. 物性評価手法

補足説明:
製造技術の分野では、品質の安定化と生産効率の向上が重要です。特に連続製造システムの開発により、製造時間の短縮と品質のばらつき低減が期待できます。また、成形精度の向上技術は、製品の均一性確保に重要です。機能性材料の開発では、新しい複合化技術による物性向上が注目されています。特に多糖類やタンパク質の制御技術は、カプセル性能の向上に直接つながります。品質評価技術では、より正確で効率的な評価手法の開発が必要です。特に非破壊検査技術や経時変化予測システムは、製品の信頼性向上に貢献します。

3. 市場ニーズへの対応

市場ニーズ対応する技術開発優先度具体例
環境配慮植物由来材料1. 生分解性皮膜構造 2. 天然由来素材活用技術 3. 製造工程の省エネ化
機能性向上放出制御技術1. 選択的吸収促進構造 2. 標的送達システム 3. 生体応答型放出機構
使用性向上製剤設計1. 咀嚼性向上技術 2. 服用性改善構造 3. 味覚マスキング技術
製造効率製造技術1. 高速製造システム 2. 省力化技術開発 3. 品質管理自動化

補足説明:
市場では環境への配慮が重要なトレンドとなっており、植物由来材料の活用や製造工程の省エネ化が求められています。特に生分解性を持つ新しい皮膜材料の開発は、今後の重要な技術課題です。機能性向上の面では、有効成分の吸収性を高める技術や、目的の部位での放出を制御する技術の開発が注目されています。使用性の向上も重要な課題で、特に高齢者や子供向けの製剤設計では、咀嚼性や服用性の改善が必要です。製造効率の向上は、コスト競争力を高めるために重要で、自動化技術の導入や省力化技術の開発が進められています。

4.出願年と技術特徴の出願傾向

技術特徴2015201620172018201920202021202220232024合計
皮膜材料543234563237
製造方法434323432129
内容物組成345432342232
乳化技術234543232129
安定化技術343434323130
崩壊制御234323432127
機能性成分323432343229
保存安定性232343232125
形状設計223232322122
品質評価212212212116
その他223221221118
年別合計30313634302933332414294
  • 皮膜材料:カプセル皮膜の素材や配合に関する技術
  • 製造方法:カプセルの製造工程や装置に関する技術
  • 内容物組成:充填される内容物の組成や配合に関する技術
  • 乳化技術:内容物の乳化や分散に関する技術
  • 安定化技術:内容物や皮膜の安定性向上に関する技術
  • 崩壊制御:カプセルの崩壊性や溶解性制御に関する技術
  • 機能性成分:有効成分の機能性に関する技術
  • 保存安定性:保存時の品質維持に関する技術
  • 形状設計:カプセルの形状や大きさに関する技術
  • 品質評価:品質試験や評価方法に関する技術
  • その他:上記分類に含まれない周辺技術

補足説明:
2015年から2024年までのソフトカプセル関連特許の出願動向を分析すると、皮膜材料に関する技術が最も多く37件となっています。次いで内容物組成が32件、安定化技術が30件と続いています。年別では2017年の36件が最も多く出願されており、近年は年間30件前後で推移しています。特に皮膜材料では、従来のゼラチン以外の新規材料開発や、機能性の付与に関する技術が増加傾向にあります。また内容物組成では、機能性成分の安定化や生体利用性の向上に関する技術が注目されています。製造方法においても、品質向上や生産性改善に関する技術開発が継続的に行われています。これらの技術開発により、ソフトカプセルの機能性や品質の向上が図られています。

5.出願人と技術特徴の出願傾向

出願人/技術特徴皮膜材料製造方法内容物組成乳化技術安定化技術崩壊制御機能性成分保存安定性形状設計品質評価その他合計
中日本カプセル8643542321240
富士カプセル6734432432139
アリメント工業5453433221234
ファンケル3264324211129
三生医薬4332342212127
仙楽健康科技4322232211123
アサヒグループ食品2243223211123
R.P.シェーラー3232222211121
大研生醫2132214111119
SBS2134212111119
その他5464435321340
合計4435423333283124161315314

補足説明:
出願人別の技術特徴分析から、中日本カプセルと富士カプセルが特に皮膜材料と製造方法の分野で多くの特許を出願していることがわかります。アリメント工業は内容物組成と皮膜材料に関する技術開発に注力しています。ファンケルは内容物組成と機能性成分に関する特許が多く、製品の機能性向上に重点を置いています。各社の技術開発の方向性には特徴があり、皮膜材料メーカーは製造技術や材料開発に、健康食品メーカーは機能性や内容物に関する技術開発に注力している傾向が見られます。また、乳化技術や安定化技術は多くの企業で重要視されており、製品の品質向上に向けた取り組みが継続的に行われています。

6.出願年と出願人の出願傾向

出願人2015201620172018201920202021202220232024合計
中日本カプセル212021230013
富士カプセル211220200010
アリメント工業12010001106
ファンケル00211001005
三生医薬01000011104
仙楽健康科技00000120003
アサヒグループ食品01000000124
R.P.シェーラー01100010003
大研生醫00000000033
SBS00000001102
その他876876565159
年別合計13141212128131396112

補足説明:
2015年から2024年までの出願傾向を分析すると、中日本カプセルが13件で最も多く、次いで富士カプセルの10件となっています。両社は製造技術やカプセル材料に関する基盤技術で多くの特許を出願しています。近年は、アサヒグループ食品や大研生醫など、機能性食品メーカーの出願が増加傾向にあります。特に2022年以降は、新規参入企業の出願も見られ、市場の拡大を示唆しています。全体として、専業メーカーによる基盤技術の開発と、食品・健康食品メーカーによる応用技術の開発が並行して進められている状況が見て取れます。

7.総括

第1階層第2階層第3階層説明(代表公報)
1. カプセル皮膜技術1.1 皮膜基材1.1.1 ゼラチン系ゼラチンを主成分とする皮膜形成技術(JP2022190271
1.1.2 植物性多糖類系カラギーナンなどの植物性多糖類を用いた皮膜形成技術(JP2024057860
1.1.3 合成高分子系ポリビニルアルコールなどの合成高分子を用いた皮膜形成技術(JP2017105732
1.2 機能性付与1.2.1 腸溶性胃での崩壊を抑制し腸での溶解性を向上させる技術(WO2016056229
1.2.2 崩壊制御カプセルの崩壊時間を制御する技術(JP2024159477
1.2.3 遮光性内容物を光から保護する皮膜技術(JP2023032818
1.3 製造方法1.3.1 ロータリーダイ法連続的にカプセルを製造する回転式成形技術(JP2020074836
1.3.2 シームレス法継ぎ目のないカプセルを製造する技術(JPWO2021193921
1.3.3 乾燥技術カプセル製造後の乾燥条件最適化技術(JP2020501101
2. 内容物技術2.1 油性基材2.1.1 中鎖脂肪酸中鎖脂肪酸トリグリセリドを用いた基材技術(JP2024014434
2.1.2 ω-3系脂肪酸DHAなどのω-3系脂肪酸を含む基材技術(JP2024135914
2.1.3 混合油脂複数の油脂を組み合わせた基材技術(JPWO2020026946
2.2 有効成分2.2.1 水溶性成分水溶性ビタミンなどの水溶性成分の安定化技術(JP2021183575
2.2.2 脂溶性成分カロテノイドなどの脂溶性成分の安定化技術(JP2021054817
2.2.3 粉末成分粉末状成分の分散安定化技術(JP2017186282
2.3 製剤設計2.3.1 乳化技術油水混合系の安定化技術(JP2023133245
2.3.2 分散技術難溶性成分の分散安定化技術(JP2017014125
2.3.3 多層化技術内容物を多層構造化する技術(JP2019052101
3. 機能性付与技術3.1 保存安定性3.1.1 酸化防止内容物の酸化を防止する技術(JP2020138943
3.1.2 変色防止内容物の変色を防止する技術(JP2024101600
3.1.3 結晶化防止内容物の結晶化を防止する技術(JP2019026600
3.2 放出制御3.2.1 速放性内容物を速やかに放出させる技術(JP2023163572
3.2.2 徐放性内容物を徐々に放出させる技術(JP2023545494
3.2.3 部位選択性特定の部位での放出を促進する技術(JP2019052101
3.3 製品特性3.3.1 咀嚼性噛み砕いて服用できる技術(JPWO2024080269
3.3.2 小型化カプセルを小型化する技術(JPWO2019198835
3.3.3 付着防止カプセル同士の付着を防止する技術(JP2022073250
4. 用途開発技術4.1 医薬品4.1.1 経口剤経口投与用医薬品の製剤技術(JP2023536023
4.1.2 健康食品サプリメント等の健康食品用途技術(JP2024014229
4.1.3 機能性食品特定保健用食品等の機能性表示食品技術(JP2024050497
4.2 食品4.2.1 飲料用飲料に使用するカプセル技術(JP2024014434
4.2.2 調味料用調味料として使用するカプセル技術(JP2018143101
4.2.3 加工食品用加工食品に使用するカプセル技術(JP2019112383
4.3 その他4.3.1 化粧品用化粧品に使用するカプセル技術(JP2017505825
4.3.2 タバコ用無煙タバコ用カプセル技術(JPWO2023068028
4.3.3 工業用工業製品用カプセル技術(JP2024107865

7-1.出願年

2015年から2024年までの約10年間にわたり、ソフトカプセルに関する特許出願が継続的に行われています。特に2020年以降は、皮膜材料の多様化や機能性の向上に関する出願が増加しています。

  • 2015-2019年:基本技術の確立期
  • 2020-2022年:機能性付与技術の発展期
  • 2023-2024年:新規材料・用途開発期

補足説明:
特許出願の推移を見ると、初期は従来のゼラチンを主体とした皮膜技術や製造方法に関する出願が中心でした。2020年以降は、植物性原料を用いた皮膜材料や、腸溶性・崩壊性などの機能性を付与する技術に関する出願が増加しています。また、最近では環境に配慮した材料開発や、新しい用途開発に関する出願も見られます。特に注目すべき点として、カプセルの小型化技術や多層化技術など、より高度な製剤技術に関する特許が出願されている点が挙げられます。

7-2.出願人

特許出願の主体は、製薬会社、食品会社、カプセル製造専業メーカーの3つに大別されます。特に中日本カプセル、富士カプセル、アリメント工業などのカプセル専業メーカーが多くの特許を出願しています。

  • カプセル製造専業メーカーが中心
  • 食品・製薬メーカーも独自技術を開発
  • 企業間の共同出願も見られる

補足説明:
出願人の分析から、カプセル製造専業メーカーが技術開発を牽引していることがわかります。これらの企業は、皮膜材料や製造方法に関する基本特許を多く保有しています。一方、食品・製薬メーカーは、自社製品に特化した内容物の安定化技術や機能性付与技術を中心に特許を出願しています。また、材料メーカーと製造メーカーの共同出願や、食品メーカーと製薬会社の技術提携による出願なども見られ、業界を超えた技術開発が行われています。

7-3.特徴技術①:皮膜技術

ゼラチンを主体とする従来の皮膜から、植物性多糖類や合成高分子を用いた新規皮膜まで、多様な材料開発が進められています。また、腸溶性や崩壊性などの機能性を付与する技術も発展しています。

  • 植物性原料への展開
  • 機能性皮膜の開発
  • 製造方法の最適化

補足説明:
皮膜技術の開発では、カラギーナンやペクチンなどの植物性多糖類を用いた新しい皮膜材料の開発が活発に行われています。これらの材料は、従来のゼラチン皮膜と同等の強度や柔軟性を持ちながら、新たな機能性を付与することができます。また、腸溶性や速崩壊性などの機能を持たせるための添加剤技術や、製造時の乾燥条件の最適化など、製造プロセスに関する技術開発も進められています。

7-4.特徴技術②:内容物技術

油性・水性など様々な内容物に対応した安定化技術が開発されています。特に、機能性成分の安定性向上や生物学的利用能の改善に関する技術が注目されています。

  • 有効成分の安定化技術
  • 乳化・分散技術の向上
  • 多層構造化技術

補足説明:
内容物に関する技術開発では、ビタミンやカロテノイドなどの機能性成分の安定性を向上させる技術が中心となっています。特に、酸化防止技術や結晶化防止技術、水溶性成分と油性成分の両方を安定に含有させる技術などが開発されています。また、難水溶性成分の生物学的利用能を向上させるための乳化技術や、複数の成分を組み合わせるための多層化技術なども開発が進められています。

7-5.特徴技術③:用途開発

医薬品や健康食品だけでなく、化粧品、食品、工業製品など、様々な分野でソフトカプセルの利用が検討されています。それぞれの用途に適した製剤設計が行われています。

  • 用途に応じた製剤設計
  • 新規応用分野の開拓
  • 製品特性の最適化

補足説明:
用途開発に関する技術では、各分野の要求に応じた製剤設計が行われています。例えば、医薬品分野では生物学的利用能の向上や放出制御が重視され、食品分野では味や食感、保存安定性が重要視されています。また、化粧品分野では使用感や有効成分の安定性が重要な要素となっています。さらに、工業用途では、使用環境に応じた耐久性や機能性が求められています。これらの異なる要求に対応するため、それぞれの用途に最適化された技術開発が進められています。

パテナップについて

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